スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

245時限目:紫の夜を越えて

紫の夜を越えて

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【紫の夜を越えて】

 

■通算44作目のシングル曲です。2021年3月25日に配信リリースされ、同日にMVも公開になりました。

 

さかのぼること、(おそらく)去年2020年12月25日のこと…最初は、曲名は明かされませんでしたが、ニュース番組「NEWS23」の新エンディングテーマをスピッツが担当するという情報が出ました。

 

そして年が明け、2021年1月5日、新年1回目の「NEWS23」にて、スピッツの新曲【紫の夜を越えて】が、初オンエアされました。その1発目のオンエアで、僕はその新曲を聴くことができました。流れたのはほんの少しでしたが、やっぱり新曲が聴けたってだけで、とても嬉しかったです。

 

それにしても、【優しいあの子】が朝ドラの主題歌に選ばれた時も驚きましたが、今度はニュース番組ですか、何とまぁ幅広い活動ですよね。

 

言ってみれば、朝ドラとニュース番組って、割と対極的な位置にあるものじゃないですか。方や子どもから大人まで楽しめるような国民的な番組、方や世の中のリアルを映し出す社会派番組…スピッツは、どちらにもしっかりと振り幅を持っているバンドなんだと、改めて気づかされます。

 


スピッツの新曲が、「NEWS23」の主題歌に選ばれたことに関して、草野さんがコメントをされているのを見つけましたので、引用して載せておきます。詳しくは、下記のサイトをご覧ください。

 

natalie.mu

 


草野マサムネ コメント
「毎日当たり前のように夜11時からは「NEWS23」を拝見してきたので、スピッツの曲を使っていただけるのは不思議でもあり、大変光栄に思います!
新型コロナの影響で従来の価値観が揺らいで、社会全体が不安の霧で覆われそうな昨今です。
そんな日々の締めくくりに「NEWS23」を見て一喜一憂した後に、この曲を耳にされた方々が今後少しずつでも霧が晴れて、明るい方へ向かっていけるイメージを持ってもらえたらという思いで作りました。」

 

やはり想いを馳せておられるのは、新型コロナウィルス感染症により、自粛生活などを余儀なくされている我々の生活なのでしょうか。

 

気を張って皆が生活をしているように思える昨今…そういう日常の1日の終わりに、草野さんの優しい声、ひいては、スピッツの楽曲を聴くことは、草野さんがおっしゃるように、少しでも明るい気持ちで…というか、少しでもラクな気持ちで、1日を締めくくることができるかもしれません。

 


■さて、【紫の夜を越えて】がリリースされた2021年3月25日と言えば、スピッツがメジャーデビューして、実に30周年を迎える記念すべき日でもありました。

 

今から30年前…1991年3月25日に、スピッツは1stシングル『ヒバリのこころ』と、1stアルバム『スピッツ』を同時リリースして、メジャーデビューを果たします。

 

デビューアルバムに関しては、今はもう伝説の1枚ですよね。スピッツの一番マニアックなところが凝縮されている、まさしく1枚目にして1番の奇作だという印象ですが、紛れもなくここからスピッツの長い歴史が始まったわけです。

 


そんな、スピッツのデビュー30周年を記念して、色々な企画などが催されました。

 

例えば、「スピッツデビュー30周年 みんなで作った!スペシャルプレイリスト公開」と称して、1ヶ月間に渡って再生回数の多かった上位30曲をまとめたスペシャルプレイリストを公開するという企画。

 

選ばれた30曲は、以下のリンクの先にある通りです。

www.universal-music.co.jp

 

シングル曲ばっかりで、自分にとっては目新しくないなっていうのが率直な感想でしたが、まぁ別にファンサイトなどで行われたわけではないので、有名曲が並ぶのはしょうがないと言えばしょうがないですかね。

 

ちなみに、ここスピッツ大学で過去に行った、スピッツ大学ランキング企画の上位30曲は以下の通りです。特に、最近スピッツに興味を持ち始めた生徒は、ぜひチェックしてみてください。

 

f:id:itukamitaniji:20210426005356j:plain

あとは、WOWOWにて、スピッツ特集が組まれました。

 

ファンの中からリクエストを募り、リクエストの多かったが曲MVを流すという特番「スピッツデビュー30周年記念MVコレクション」では、僕も後半をちらっと見ましたが、新旧問わず色んなMVが流されていました。ちなみに、この特番の最後で、新曲【紫の夜を越えて】のMVが、テレビ初公開されました。

 

それから、何と言っても「スピッツ 猫ちぐらの夕べ WOWOWスペシャルエディション」ですよ!

 

2020年11月26日に、東京ガーデンシアターにて行われたライヴイベント「スピッツ コンサート2020 ”猫ちぐらの夕べ”」の模様を、何曲かのカットはありつつも、余すことなく放映してくれました。僕自身は、この放送で初めて「猫ちぐらの夕べ」を見ましたが、スピッツマニアも喜ぶ、本当にレアな選曲で楽しめました。【魚】、【君だけを】、【ハネモノ】辺りは、特に個人的に嬉しかった曲たちです。

 


■そんな風に、デビュー30周年の節目の時期に、新曲【紫の夜を越えて】は発表されましたが、個人的にはこの曲自体からは、”デビュー30周年記念感”はあんまり感じませんでした。

 

例えば、結成20周年記念ソングはと考えると、個人的には【ルキンフォー】がイメージされますし、結成30周年ソングと考えると、これはもう言わずもがな【1987→】ですよね。

 

こんな風に、”結成”記念ソングとしては、結構印象深い曲はあるんですけど、ただこれが”デビュー”記念ソングとなると、あんまりイメージできる曲がないんです。例えば、デビュー20周年ソングって、何かありましたっけ?強いていうならば、アルバム『とげまる』収録の【えにし】とかでしょうか?

 

まぁとにかく、【紫の夜を越えて】という曲は、自分たちのデビュー30周年に想いを馳せた曲という感じには聴こえませんでした。それよりもむしろ、先述した通り、今のこの社会に向けて、この社会で懸命に生きる人々に向けて…という側面を強く感じました。

 


■ということで、この曲の個人的な解釈・感想について、紹介してみます。

 

まず、曲の感じとしては、ドラマチックだと感じました。印象的なギターのアルペジオからイントロが始まり、そこから静かに曲は進んでいくのですが、少しずつ音が増えていき、サビで一気に解放されるという展開…スピッツにはこういう曲は多いですよね。

 

ただし、決しておとなしい曲調ではないですし、歌っていることもそんなに暗いわけではないんですけど、個人的には明るい曲という感じはしませんでしたね。サビのドラムのリズムとかもそうですけど、どこか切迫感というか、追い立てられている感みたいなものを感じるところがあります。

 

個人的に思い出したのは、【さらさら】という曲でした。あの曲も、まぁ歌が発表された時期が時期なだけに…という理由もあるかもしれませんが、おとなしい曲調なわけではないけれど、どこか胸が苦しくなる感じ、個人的には鎮魂歌と表現しましたが、そういう部分を両曲に共通して感じました。

 


■では、歌詞について、少しずつですか紹介しつつ、考察してみます。

 

個人的に、この曲の歌詞の中に出てくる言葉として印象に残ったのは、”惑星”という言葉でした。もちろん、”紫”という言葉も印象には残ったのですが、個人的には、この歌の中では、”惑星”という言葉がキーワードになっていると思っていました。

 



君が話してた 美しい惑星は
この頃僕もイメージできるのさ 本当にあるのかも

 

まず、出だしの歌詞です。”君が話してた”という風に、いきなりの二人称の行動から曲が始まるのも面白いんですけど、ここに早速、”美しい惑星”という言葉が出てきています。

 

この”美しい惑星”というものについて、続く歌詞には”この頃僕もイメージできるのさ”とありますが、逆に考えると、この頃までは”美しい惑星”を”僕”はイメージすることができなかったということになります。”君”という人物の話を聞いて教えられて、あるいは、何か自分を取り巻く状況が変わったことで、僕はこの頃、”美しい惑星”のことをイメージできるようになった、ということになります。

 

スピッツの曲の中で、”惑星”という歌詞が使われている曲がどれだけあるのかは分かりませんが、すぐに思い出せるのは、個人的には2曲、【惑星のかけら】と…インディーズ時代の曲である【惑星S・E・Xのテーマ】でした笑。

 

両曲に出てくる”惑星”という言葉からは、エロティックというか、ファンタジーというか…何ていうか、特に過去に【惑星のかけら】の記事で書いたんですけど、草野さんの妄想が集まっている場所というか、そういう概念みたいなものだと感じました。

 

一方、【紫の夜を越えて】の歌詞に出てくる”惑星”という言葉からは、割とリアリティを感じました。”本当にあるのかも”という風な歌詞も出てきていますからね。

 

この歌に出てくる”僕”が、草野さん自身を指すのか、それとも、もっと広く万人を指す言葉として”僕”と表しているのかは定かではありませんが、紛れもなく草野さんが書いた詩であることを鑑みると、”惑星”という言葉に対するここら辺の気持ちの変移は面白いなって思いました。

 


■では、具体的に”惑星”とは何を指しているのでしょうか。

 

もちろん、ただ単に”惑星”=我々が暮らしているこの”地球”という惑星と訳しても、別に差し支えはないような気もします。

 

”惑星”…少し言葉を変えて、この”世界”だったり、”人生”と言い換えてみるとどうでしょうか。例えば、君との出会いによって、君と過ごす日々によって、惑星=(僕の)世界や人生は素晴らしいものだと、思うことができるようになったと、そう読むことができます。

 


ただ、この”惑星”という言葉に、ちょっと違う意味を感じ取った歌詞がありました。

 


紫の夜を越えていこう いくつもの光の粒
僕らも小さな ひとつずつ

 

ここの”いくつもの光の粒 僕らも小さな ひとつずつ”という歌詞についてですが、ここでひょっとしたら、”惑星”=我々人間を表しているのかな、と思うようになりました。

 

太陽のような恒星が放つ光を受けて、互いに距離を取りながらも、離れることなく恒星の周りを回る惑星…”僕らも小さな ひとつずつ”とは、そんな惑星の姿に、我々人間の姿を重ね合わせているのではないか、と感じたのです。

 

人間と人間が、距離を置いて生活をせざるを得なくなっている昨今の、ある種異常な生活だからこそ、なおさらその姿に惑星を重ね合わせているのかもしれない…と考えました。

 


とすると、再び冒頭の歌詞、

 


君が話してた 美しい惑星は
この頃僕もイメージできるのさ 本当にあるのかも

 

だったり、

 


袖をはばたかせ あの惑星に届け

 

などの部分での”惑星”も、やはり、人間を指しているのだと思えてきます。

 

前者では、君との出会い自体が、人の優しさだったり、人と過ごすことの素晴らしさを知るきっかけになったのかもしれないですし、後者では、自分の想いが、離れた相手(これを”惑星”と表現しているのか?)にも届くようにと歌っているのかな、と感じました。

 


■その他、印象に残った歌詞を紹介してみます。

 


いつも寂しがり 時に消えたがり
画面の向こうの快楽 匂いのない正義 その先に

 

この辺りは、まさしく今の社会の現状を風刺しているような歌詞ですよね。特に、”画面の向こうの快楽 匂いのない正義”という部分…実物に触れなくても手に入ってしまう画面(スマホやパソコンのディスプレイ)の向こうの快楽や、匂いのない正義…個人的には、ツイッターなどのSNSで振りかざされる正義を思い浮かべました。

 



紫の夜を越えていこう 捨てた方がいいと言われた
モリーズ 強く抱きしめて

 

ここは、歌われている内容としてはそのままだという印象ですが、スピッツファンならば、”メモリーズ”という言葉に反応してしまうはずです!

 


■あとは、タイトルにもなっている”紫の夜を越えて”という言葉について。

 

これは、もうすでに前に書いた記事でも触れたので、自分の記事を丸パクリします、苦笑。


そもそもこの歌に、”紫”という言葉を当てはめていることについてですが、その前にまず、これまでのスピッツの曲のタイトルや、その歌詞の中に”紫”という言葉がどれくらい使われてきたのか、ということを調べてみたんです。

 

その結果…実は、これまでのスピッツの全楽曲のタイトル、歌詞の中に、”紫”という言葉が使われている曲は1曲もないんですよね。

 

何となく不思議な感じはしました。もちろん、赤や青などと比べると、紫という色は、あんまり日常でも使う場面は少ないかもしれませんが、1曲もないとはねぇ、意外でした。


ということで、今回の曲で”紫”という言葉が初めて使われたわけですが、さらに色々とネットで調べていくと、”紫”という言葉に対して草野さんがどういう印象を持っているのかが分かりました。

 

草野さんが”紫”という言葉に持っている印象…ずばりそれは、”孤独”であるようです。いつだったか、音楽雑誌にてそう語ったことがあるようです。

 

とするならば、”紫の夜”=”孤独な夜”と、安直にですが読み取ることができ、それを”越えて”とくれば、やはりこのコロナ禍により不安な気持ちに苛まれた人々が、不安な夜(日々)を越えて、また明るい日々へ向かっていけるようにと、願いがこもっているのだろうと、想像ができます。

 

ただ、先述した通り、(個人的な解釈ですが…)人々を惑星と例えることにより、距離を取りつつも、付かず離れずで我々人間たちは、こんな時代でも確かに、いくつもの”紫の夜”を越えて生きているのだと、そう歌ってくれているんだなとも思っています。

 

youtu.be

2021年 スピッツの新曲が発表された件

■どうも、お久しぶりでございます。学長のitukamitanijiでございます。

 

ここで記事を書くのは、去年の7月ぶりになってしまいました。何なら、2020年も終わり、年をまたいでしまいました。そういうわけで、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 

さて、こんなに久しぶりに、ここで記事を書きはじめた理由は、他でもありません…スピッツの新曲についてです。

 

※ということで、スピッツの新曲について語っていきますが、ネタバレ(そこまでなっていないと思いますが…)などが気になる方は、すみませんが、ここで読むことを止めていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

■振り返ってみると、初めて自分が情報を確認したのは、12月25日のことでした。

 

何と、2021年からニュース番組「NEWS23」のエンディングテーマソングとして、スピッツの新曲が使われることになったのです!具体的には、1月4日の当番組にて初OAされるとの情報でした。

 

そしてさらに時が経って、まさに今日(1月4日)のことになりますが、その新曲のタイトルだったり、草野さんと、番組のメインキャスターである小川彩佳さんのコメントなどが公開されました。

 

natalie.mu

 

一先ず、新曲のタイトルは、【紫の夜を越えて】ということが分かりました。そして、草野さんのコメントのみ引用させていただくと、以下の通り。

 


毎日当たり前のように夜11時からは「NEWS23」を拝見してきたので、スピッツの曲を使っていただけるのは不思議でもあり、大変光栄に思います!
新型コロナの影響で従来の価値観が揺らいで、社会全体が不安の霧で覆われそうな昨今です。
そんな日々の締めくくりに「NEWS23」を見て一喜一憂した後に、この曲を耳にされた方々が今後少しずつでも霧が晴れて、明るい方へ向かっていけるイメージを持ってもらえたらという思いで作りました。

 

やはり想いを馳せているのは、去年から続くコロナ禍により、変わってしまった社会や我々の生活なのでしょうか。そのような生活や社会に対して、少しでも明るい気持ちになれるようにと、願いを込めたのだろうと察することができます。【猫ちぐら】が、そういう曲であったように…。

 


■聴く前からもうすでに色々と想像を膨らませているのですが、そもそも”夜”という言葉に、”紫”という色を当てはめていることについて、考えていました。

 

どうでしょうか、”夜”という言葉に、何かの色を当てはめるときに、”紫”という言葉が思い浮かびますかね?ちょっと不思議な感じがしますよね。

 

それで、色々と調べてみたんです。まず、これまでのスピッツの曲のタイトルや、その中の歌詞に”紫”という言葉がどれくらい使われたのか、どういう時に使われたのか、みたいなことが気になって調べてみました。

 

結果…実は、これまでのスピッツの全楽曲のタイトル、歌詞の中に、”紫”という言葉は一度も出てこないんですよ。


まぁ、確かに”赤”や”青”や”緑”みたいなメジャーな色に比べると、”紫”という言葉を使う場面って日常でも少ないですかね。


それでも、ただでさえひねくれ者のスピッツ、草野さんのことだから、一度くらいは使っているだろうと思ってたんですけど…一回も使ったことがないとは少し意外でした。

 


ということで、今回の曲で”紫”という言葉が初めて使われたわけですが、さらに色々とネットで調べていくと、”紫”という言葉に対して草野さんがどういう印象を持っているのかが分かりました。

 

草野さんが”紫”という言葉に持っている印象…ずばりそれは、”孤独”であるようです。いつだったかの、音楽雑誌にてそう語ったことがあるようです。

 

とするならば、”紫の夜”=”孤独な夜”と、安直にですが読み取ることができ、それを”越えて”とくれば、やはりこのコロナ禍により不安な気持ちに苛まれた人々が、不安な夜(日々)を越えて、また明るい日々へ向かっていけるようにと、願いがこもっているのだろうと、想像ができます。

 


***

 


■はい、ということでここからは、今しがた新年1回目の「NEWS23」にて、EDテーマソング【紫の夜を越えて】を、初聴きした後でございます。

 

てっきり、バラードかと思っていましたが、割とノリの良い曲でしたね。

 

また、この曲が何らかの形で、フルで聴けるようになった暁には、ここで改めて語りますので、よろしくお願いします。

244時限目:猫ちぐら

猫ちぐら

猫ちぐら

猫ちぐら

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■2020年6月26日より、配信サイトやサブスクなどで配信された新曲です。

 

これまでの、スピッツの配信限定シングル(レコードが作られていないシングル)と言えば、【愛のことば -2014mix-】と【雪風】がありますが、【猫ちぐら】はどうなんですかね?レコードは作られないのか…そもそもシングルという位置づけになるのか…シングルだとするならば、43作目のシングルとなります。

 

さて、その【猫ちぐら】という曲ですが、作られた経緯などがとても特別なので、その辺りのことについて、まず紹介しておきます。

 


■まさに、確実に歴史に残るであろう出来事、未曽有のパンデミックになりました…2020年、新型コロナウィルス感染拡大。

 

世界中にコロナウィルスが拡大していく中、日本にもコロナウィルスが入ってきて、感染が拡大していきました。オリンピックの延期が決定になったり、学校が長いこと休校になったり、色んなところに影響が及びましたが、同年4月16日、緊急事態宣言が発令になったことをきっかけに、自粛モードはさらに加速…我々は家に閉じこもることを余儀なくされました。

 

このコロナ禍によって、クラスター発生の懸念から、音楽イベントやアーティストのライヴが次々と延期・中止になってきました。

 

それは、スピッツも例外ではなく、2019年~2020年に行われる予定であった、『SPITZ JAMBOREE TOUR 2019-2020 “MIKKE”』の3月~6月の各所公演を延期するという決定がなされました。スピッツメンバーはもちろん、関わったスタッフの方々、そして、そのライヴに参加する予定だったファンの方々等は、本当に残念な気持ちになっただろうと察します。

 


■そんな状況を憂いてか、スピッツが動きます。

 

大分さかのぼって、2013年9月14日のことになりますが、スピッツは横浜赤レンガパークという場所で、野外ライヴイベント『スピッツ 横浜サンセット2013』を行いました。このライヴの様子については、2015年に『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』として劇場公開されたのですが、それ以降は映像化されることはありませんでした。

 

しかし、2020年5月15日、YouTubeのオフィシャルチャンネルにて、突如『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』が無料公開されたのです。これに関しては、本当にサプライズで、多くのスピッツファンを喜ばせる結果となりました。

 

まぁ、これだけでも十分素敵な贈り物となったのですが、さらにスピッツの贈り物は続きました。

 


■2020年6月14日、草野さんがパーソナリティ―を務めるラジオ番組『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』のオンエア内での出来事でした。

 

当ラジオ番組の内容としては、ひとつのテーマを決めて、そのテーマに合った曲を草野さんが紹介していくというものなのですが、この日のテーマは、【日本のロック最盛期1999年で漫遊記】でした。

 

…実は、最近あんまり『ロック大陸漫遊記』を僕自身が聴いていなかったのですが、テーマが面白そうだと思い、久しぶりに聴きました。

 

時間になり、いつも通りの感じで番組が始まりました。番組コールがあって、この日の番組テーマが語られた後、通常であれば、まずそのテーマに合ったスピッツの曲を草野さんが流すところなんですが、そこで草野さんが、何とスピッツの新曲について語り始めたのです!そこの部分だけ、文字起こししてみると、

 


草野さん「…そして、漫遊前の1曲なんですけども、この話の流れだと、スピッツの99年の曲をかけそうなところなんですけれども、今日は何と新曲を聴いていただこうと思います。緊急事態宣言、前後含めて2ヶ月間くらい、ほぼステイホームで、俺らだけじゃなく世の中の人皆さん過ごされたと思うんですけども、スピッツ、リモートでどこまでレコーディングできるかっていうのをやってみまして、一度もメンバー同士顔を合わせることなく、時間差で音を重ねて、データのやり取りなんかで、結構できちゃうもんだなという感じで、何かできちゃったんで、今日はそれを聴いていただこうと思います。」

 

という感じでした。ごく自然に、つるっと語られた後、新曲が流れ始めたのです。この新曲こそが、【猫ちぐら】でした。

 


何と、メンバーが一度も顔を合わせることなく、データのやり取りだけで、全てリモートで作られた新曲【猫ちぐら】…もちろん、緊急事態だからこそ、こういうことに踏み込んだのでしょうけど、出来るものなんですね。

 

先述の通り、コロナウィルス感染拡大のために、家に閉じこもることを余儀なくされた僕らでしたが、そういう時間が長く続いても、家に居る間も少しでも気持ちを楽にしてもらいたいという配慮から、まぁライヴ映像の配信もそうですけど、スピッツは・草野さんは、スピッツファンのために、色んなことを考えて、音楽を作ってくださっていたのでしょう。

 

しかもそれを、大々的に「やります!」とか言わないで、さらっとやってくれるじゃないですか。もちろん、事前に告知があっても、十分嬉しかったはずなのですが、そこをさらっとやるところに、これまたスピッツらしさを感じたところでありました。

 

という感じで発表された新曲【猫ちぐら】でしたが、どういう形で具体的に音源化になるんだろう、と思った矢先、同年6月26日に配信限定(シングル?)の音源として配信されました。

 


ちなみに余談ですが…

 

おそらく、早めに番組を聴くことができた人たちだと思うのですが(放送時間が各地でずれているため)、ツイッターで、この日のロック大陸漫遊記でスピッツの新曲が発表になったというツイートを流していました。ツイッターは流れが早く予測不能なので、ネタバレ回避との相性が悪く、実際僕自身も、そのツイートを見てしまいました。

 

個人的には、あんまりこういう先んじたネタバレは好きではないんですけどね…新曲を公開するという告知がなかったのは、サプライズ要素もあったからだと思いますし、少し残念だったな、と思っています。各地のリアルタイムでの番組が、全て終わった後ならば良かったんですけどね…。

 


■さて、そもそもタイトルになっている、”猫ちぐら”という言葉についてなんですけど、意味を知らなかったので、wikiなどで調べてみました。

 

元々は、人間の赤ちゃんを入れるように作られた、わらなどで作られたゆりかごのことを、「つぐら」「ちぐら」などと言うんだそうです(どうやら、漢字で書くと、ちぐら/稚座のようです)。農作業をしながら、あぜ道にちぐらを置き、その中に赤ちゃんを入れてあやしながら、作業をしていたようです。

 

そこから、猫が暗く狭いところに好んで入っていくという習性を利用して、猫用に作られたのが「猫ちぐら」ということだそうです。新潟県や長野県などの伝統工芸品として有名のようです。

 

以下、猫ちぐらのイメージです。宣伝みたいになっちゃいましたが…なかなかシュールでほっこりします笑。 

www.nekochigura.com


ちなみに、タイトル自体に、”猫”という言葉が使われている曲は、【猫ちぐら】の他に、名曲【猫になりたい】がありますが、歌詞を探せば、スピッツの曲には、”猫”という言葉が出てくる曲がたくさんあります。いくつか紹介してみますね、曲名は当ててみてください!

 


片隅に捨てられて 呼吸をやめない猫も
どこか似ている 抱き上げて 無理やりに頬よせるよ

 


手を離したならすぐ
猫の顔で歌ってやる

 


近づいて 抱き上げて
ノドを鳴らす 子猫のような
望み通りの生き物に変わる

 


スズメのざわめき かためた木々も
野良猫 サカリの頃の歌声も

 


■では、【猫ちぐら】という曲についての、個人的な感想・解釈について語ってみます。

 

まず、曲の感じとしては、草野さんの弾き語りを、楽器隊お三方の演奏が優しく引き立てているような構成になっています。途中の間奏から、ドラムの音が加わってきて、少し曲の雰囲気が変わりますが、終始ゆったりとした曲調で曲は進んでいきます。

 

先述の通り、この曲がメンバー個々で録った歌唱・演奏を、リモートで重ねた曲であるということも影響しているのか、とてもシンプルな気がしましたが、草野さんのボーカルも、メンバーの楽器の演奏も、それぞれがしっかりと聴こえてくるような気がしました…まぁ、それはいつも通りですかね、それこそがスピッツの最大の魅力なんですが、曲が作られた経緯を知ると、何となくいつもより、それぞれの楽器の音が引き立って聴こえてきたのです。

 

こんな風に、直に顔を合わせることなく、新曲をレコーディングするという試みは初めてのことだったはずですが、素人の自分からすると、それでもこんな素敵な歌が作れるんだなと、ただ驚くばかりです。何たってそれでも、【猫ちぐら】はしっかりとスピッツの楽曲として出来上がっているわけですからね。

 


■それから、【猫ちぐら】という歌に込められた想いとして、個人的に受けとったものが大きく2つあったので、紹介します。



一つ目
「家の中に閉じこもっている人々の気持ちが、少しでも楽に、少しでも明るくなるように」という願い

 

こちらに関しては、歌詞を読んで…というより、この歌が作られた経緯や発表されたタイミングだったり、【猫ちぐら】というタイトルの響きなどから、受け取った想いでした。

 

先程から何度も言っている通りなのですが、当分の間、家から出ることを自粛しなければならなくなったり、仕事のやり方を変えなければならなくなった僕(ら)ですが、その間だからこそできることを探して頑張っているはずです。

 

しかしながら、ふとした時に感じる”自粛疲れ”…僕自身は元々が出不精なので、家で過ごすことはそんなに苦痛とは思わなかったですが、一番何が辛かったかって、「いつかこの自粛期間が明けたとして、普通通りの生活に自分が戻れるか」ということを考えた時でした。

 

そんなときに、スピッツのライヴ映像が発信されたり、新曲【猫ちぐら】が発表されたりして、本当に嬉しかったんです。引きこもり最高!ステイホーム万歳!…とあまり大声で言うことは憚られますが、本当に楽しい一時を過ごすことができました。やはり、スピッツという存在は、自分にとって大切なものなのだと、改めて実感しました。そして、それはきっと、草野さんの・スピッツの願いとも、一致していると思います。

 


二つ目
「いつか自粛期間が明けて、また再び外に出られる日がやってくるから、頑張っていこう」という応援

 

歌詞を読んだ感じ、やはりこちらの解釈に落ち着きました。歌詞を紹介しつつ書いてみます。

 



作りたかった君と小さな
猫ちぐらみたいな部屋を
斜め方向の道がまさか
待ち構えていようとは

 

まず、”猫ちぐら”という言葉が出てくる部分の歌詞です。ここを読んだときに、やっぱり草野さんの書く歌詞って、特別で不思議だなって思ったんです。

 

先述したとおり、”猫ちぐら”とは、つまり”猫の家”を意味する言葉なわけですけど、”猫ちぐら”という言葉をタイトルに使って、しかもこの時期に歌を作るならば、例えば、「家の中に居ても楽しいことはあるよー」「温かい生活を家の中で作ろうよー」「今はステイホームだよー」みたいな感じで歌詞を書くはずなんです。

 

しかし、歌詞を読んでみると…”猫ちぐら”は作りたかったけど、作れなかったんですよね。ということは、望んでいたけど作れなかったものを、タイトルに据えているということになるわけで、これはやっぱり視点がすごいと思ったんです、逆説的ですもんね。

 

”斜め方向の道~”の下りに関しては、予期せぬ出来事を表しているのだと思いますが、やはり今の時期だと、コロナウィルス感染拡大と捉えるのが自然だと思います。

 

あとは、別の解釈として少し思ったのは、”猫”とは気まぐれな動物の象徴ですよね。そして、”猫ちぐら”が作れなかった…つまり、”猫”がどこかに行ってしまったとして、”猫”を”君”として捉えると、”君との別れ”というものが思い浮かんだんですけど、やっぱり時期的に前者の解釈が強くあります。

 



続いた雨も小降りになってた
お日様の位置もなんとなくわかる

 

ここの歌詞が、個人的にこの歌の中で、一番印象に残っている部分です。この歌詞もすごいですよね。

 

”雨”とは、現在の僕らに降りかかる困難の象徴、そして”お日様”とは、その雨がやんだ後に出る太陽=困難が去った後の生活の象徴、という風に捉えると、この部分はやはり、今の困難がいつか過ぎ去って、元通りの生活に戻る(はずである)ことを願っていると考えることができそうです。

 

ですが、”続いた雨”は、まだ止んではいないんですよね。だけど、”小降り”にはなったんです。”お日様の位置”も、はっきりは分からないんです。だけど、”なんとなくわかる”んです。だから、元の生活に戻ることを願いつつも、まだもう少しかかるかも?という、何とも言えない曖昧な気持ちをも代弁してくれているような気がします。

 



驚いたけどさよならじゃない
望み叶うパラレルな世界へ
明日はちょこっと違う景色 描き加えていこう

 

ここの部分ももちろん、困難が過ぎ去って、元の生活が戻ることを願う気持ちが込められているとは思います。

 

ただ、”パラレル/parallel”という言葉が、平行という意味であるので、”パラレルな世界”は、”未来の世界”というよりは、どちらかというと、たくさん存在する”現在の世界”を意味していると思います。

 

こんなことを言うと、ファンタジーのような気がしますが、要するに、今の困難な生活が続くけど、少しでも自分のできることを探して行動し、代わり映えしない生活にも変化を見出していこう、という前向きなメッセージも受け取りました。

2020年、スピッツから届いた3つのサプライズな贈り物 +おまけ

スピッツ大学で記事を書くのは久しぶりなんですが、皆さんお元気ですか?

 

リアルタイムで現在は、少しずつ自粛が解かれつつある一方で、いつか訪れるかもしれない第二波への警戒をしつつ生活をしている、というような感じの日々でしょうか。

 

個人的には、結構日常を取り戻しつつあって、仕事も割と元通りのことができるようになってきましたが…本当の元通りまではまだまだですね。その一方で、外出に関しては、まだ人の多い所には出かける気にならない…という感じです。またこれから、県外移動自粛の緩和や、先には、国外からの旅行客の受け入れなどが始まればどうなるの…という感じですけどね。

 


さて、このコロナ禍によって、クラスター発生の懸念から、音楽イベントやアーティストのライヴが次々と延期・中止になってきました。

 

そしてそれは、スピッツも例外ではなく、2019年~2020年に行われる予定であった、『SPITZ JAMBOREE TOUR 2019-2020 “MIKKE”』の3月~6月の各所公演を延期するという決定をなされました。スピッツメンバーや、そのライヴに携わっていた多くのスタッフ、そして、そのライヴを楽しみに待っていたファンの方々は、本当に残念な気持ちでいっぱいだろうと察します。

 


しかし、そんな中、スピッツが動きます。

 

このコロナ禍で、ステイホーム状態である我々スピッツファンに、少しでも家に居ることを楽しんでもらおう、気持ちを楽にしてもらおうと(おそらくそういう意図があったのだろう)、スピッツからサプライズな贈り物がいくつか届けられました。

 

ということで、今回は、ここ最近”スピッツから届いた3つのサプライズな贈り物”について、話していこうと思います。(一つは、スピッツから…というわけではないですが)

 

 

 

1.『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』がYouTubeにて公開

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まずは、何と言ってもこれですよ!

 

2013年9月14日…スピッツ作品のリリースをなぞれば、14枚目のアルバム『小さな生き物』が発売されて間もなくのことですが、スピッツは16年ぶりの野外単独ライヴ『スピッツ 横浜サンセット2013』を、横浜赤レンガパークにて行いました。

 

そして、2015年になって、その『スピッツ 横浜サンセット2013』が何と劇場公開されたんです。いわゆる、ライヴビューイングってやつですかね(生放送ではないけれど)。もちろん、これはスピッツにとって初めての試みでした。

 

ただしその後、『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』については、DVD/BDなどで映像化されていません。僕自身、この劇場版を見に行っていないので、その映像化を待ち望んでいる人間の一人でしたが、現時点でも、映像作品としてリリースされていません。まぁ、それだけこの『スピッツ 横浜サンセット2013』が、スピッツにとって特別なものだったということなのでしょう。

 


で、さらに時が経ち、つい最近…2020年5月15日。

 

何と、この『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』が、YouTubeスピッツオフィシャルチャンネルにて公開されたのです!これに関しては、本当にサプライズでしたね。

 

ところで、これはいつまで公開なのでしょうか?期間限定公開?一生?永遠?永久?…分かりませんが、期間限定の可能性が大きいので、まだ見ていない方は、お早目にチェックしてきましょう。

 

 

さて、その『スピッツ 横浜サンセット2013』のセットリストですが、以下の通りです。

 


01.恋のうた /2nd『名前をつけてやる』 
02.涙がキラリ☆ /6th『ハチミツ』
03.みそか /11th『スーベニア』
04.ハチミツ /6th『ハチミツ』
05.僕はきっと旅に出る /14th『小さな生き物』
06.夏が終わる /4th『Crispy!』
07.小さな生き物 /14th『小さな生き物』
08.さらさら /14th『小さな生き物』
09.ルキンフォー /12th『さざなみCD』
10.運命の人 /8th『フェイクファー』
11.りありてぃ /14th『小さな生き物』
12.ランプ /14th『小さな生き物』
13.アパート /3rd『惑星のかけら』
14.月に帰る /1st『スピッツ
15.チェリー /7th『インディゴ地平線
16.渚 /7th『インディゴ地平線
17.恋する凡人 /13th『とげまる』
18.8823 /9th『ハヤブサ
19.メモリーズ・カスタム /9th『ハヤブサ
20.海を見に行こう /10th『三日月ロック』

 

EN1.ヒバリのこころ /1st『スピッツ
EN2.ベビーフェイス /5th『空の飛び方』
EN3.夢追い虫 /スペシャルアルバム『色色衣』

 

今回公開された劇場版では、MCやエンドロールも余すことなく入っており、2時間越えの超ボリュームな内容になっています。ちなみに、MCで語られている通り、このライヴでは全アルバムから1曲は演奏されているようです。調べて見ると、確かになっていますね。

 

ということで、感想を書きたいのですが、個々の曲の感想を書いていくとかなり大変なので、個人的に特に印象に残ったところだけでも、少し書いておきます。

 


■01.恋のうた 粋な1曲目 

 

メンバーが登場した後、ギターも握らずに立っている草野さん…これはもしかしたら?と思っていたら、やはり【恋のうた】が1曲目でした。ボルテージが上がりっぱなしの会場を、ちょうどいい感じに盛り上げ、一気にスピッツ色に染め上げる感じが、たまらなく良いですね。

 


■04.ハチミツ こんなにかっこよかったっけ? 

 

【ハチミツ】は、MVの雰囲気も相まって、個人的にはかわいらしい曲という印象が大きかったのですが、このライヴ映像で、かなり印象が変わりました。原曲よりも、少しテンポが速く聴こえるんですけど、演奏のせいですかね?

 


■05.僕はきっと旅に出る 再びこの歌に力をもらっている

 

このライヴが行われたのが2013年9月のことだったということで、あの東日本大震災から1年半後に、このライヴは行われたことになるわけです。

 

さらにライヴでは、このライヴ直前に発売になったアルバム『小さな生き物』に収録されている曲を多く演奏していますが、当アルバムが震災の影響を受けた作品であるので、このライヴ自体が、震災から立ち直るために奮闘している社会や人々を応援する意味合いもあったなのかな、と思っています。何せ16年ぶりの野外ライヴだったわけですからね、特別な想いが込められているだろうことは想像できます。

 

その中でも、特に【僕はきっと旅に出る】という曲から、上述のようなことを感じ取ったわけですが…まぁ、今はコロナウィルス感染拡大が起こっている状況なので、余計にまた響いていきますよね。

 

長らくまた、”またいつか旅に出る”その準備状態の日々でしたが、少しずつ出かけられるようになると良いですね。

 


■レア曲がたくさん

 

個人的には、【アパート】と【月に帰る】が珍しいなと思いました。どちらも好きな曲なので、聴けて嬉しかったです。

 

【アパート】と【月に帰る】に関しては、ライヴバージョンで聴くのは全く初めてのことでした。【アパート】は3枚目のアルバム『惑星のかけら』に、【月に帰る】に関してはデビューアルバム『スピッツ』に収録されている曲なのですが、どちらも28,9年前の曲なので、当然その当時の古い感じの曲しか聴いたことがありませんでした。

 

それが今回、より最近に近いスピッツがやっているのを聴いて、何ていうか、カバー曲をやっているみたいな錯覚になりました。

 

【アパート】に関しては、このライヴではキーを上げて演奏・歌っていましたね(半音上げ?1音上げ?)。個人的には、ライヴバージョンを聴くこと自体は嬉しかったのですが、曲自体はアルバム『惑星のかけら』の原曲キーバージョンの方が好きですかね。何ていうか、ライヴバージョンは楽器の音とも相まって、少し爽やかになり過ぎてる感じがしたので、やっぱり原曲の怪しい感じが好きだなと思いました。

 

【月に帰る】の方は、これはとてもハマりました。ちゃんと幻想的な雰囲気は残しつつ、でも新しいスピッツの曲になっていて好きです。テッちゃんの見せ場である、アウトロのギターが素敵です。この野外ライヴでは、かなり似合っていたことでしょう。

 


■EN03.夢追い虫 かっこよすぎて言葉にならない

 

そして、最後の【夢追い虫】の破壊力ですよね。本当にすさまじい、かっこよすぎる、これほどすごい大団円があっていいものでしょうか。一番驚くのは、草野さんのボーカル…ここまで何曲歌ってきたんだよっていうね、まさに常時喉からCD音源、いつだって草野さんのボーカルが安定して同じように歌ってくれるから、スピッツのライヴって安心して見ていられるんですよね。

 


■何より、メンバーが終始楽しそう

 

やっぱり、これでしょう。スピッツのライヴでは、メンバーの雰囲気がとても良くて、本当に仲睦まじく楽しそうに演奏されていますよね。

 

特に印象に残るのは、崎ちゃんの演奏…物凄い演奏でも笑顔で、本当に楽しそうに叩いている姿が印象的に残っています。圧巻なのは、終盤における【メモリーズ・カスタム】、必見です。

 


…という感じです。とにかく素晴らしいので、あとは、自分の目で確かめてみてください。期間限定の可能性もありますので、どうかお早めに。

 

 

 

2.フラワーカンパニーズスピッツのライヴセッション映像が1週間限定公開

www.barks.jp

 

フラワーカンパニーズというバンドのことは、申し訳ない、よく知っているわけではないので(にわか的に【深夜高速】という曲は知っています)調べながら話していますが、このフラワーカンパニーズスピッツと同様に、メンバーチェンジと活動休止をすることなく、長く活動をしているバンドであることを知りました。

 

2019年4月23日、フラワ―カンパニーズは結成30周年を迎えます。そして、同年10月4日、フラワーカンパニーズは、結成30周年記念のイベントとして「フラワーカンパニーズ presents DRAGON DELUXE DELUXE ~30周年スペシャル~」を開催したのですが、そのイベントにゲストとして、盟友であるスピッツを呼んだのです。

 

で、その「フラワーカンパニーズ presents DRAGON DELUXE DELUXE ~30周年スペシャル~」にて、フラワーカンパニーズスピッツがライヴセッションを行ったらしいのですが、その映像をYouTubeフラワーカンパニーズオフィシャルチャンネルにて、限定公開したのです。

 


残念ながら、もうすでに映像は残っていないのですが、僕は1度だけ見ることができました。一応、セットリストだけ書いておくと…

 


01.ヒバリのこころスピッツの曲)
02.最高の夏(フラカンの曲)
03.野生のポルカスピッツの曲)
04.恋をしましょう(フラカンの曲)
05.YAH YAH YAH(CHAGE and ASKAカバー)

 

なかなか、スピッツが他のバンドと一緒に、同じ歌をセッションしているという映像は見たことがなかったので、すごく新鮮でした。フラワーカンパニーズスピッツの仲の良さも見ることができて、両バンドが確かに、この音楽界を共に歩んできたのだと実感することができました。

 


ちなみに、先述のように1曲目にセッションしている【野生のポルカ】については、原曲がアルバム『小さな生き物』に入っているのですが、その原曲【野生のポルカ】においても、フラワーカンパニーズのメンバー4人が、シンガロングに参加しています。具体的には、

 


細道駆ける最高の野生種に
細道駆ける最高の野生種に

 

の部分を、メンバー全員とプロデューサーの亀田誠治さん、そして、フラワーカンパニーズのメンバー4人(Vo.鈴木圭介さん、Ba.グレートマエカワさん、Gt.竹安堅一さん、Dr.ミスター小西さん)の大所帯でシンガロングしているそうです。

 

そういう経緯があったから、両バンドにとって、【野生のポルカ】は特別な曲であり、今回も真っ先に1曲目でセッションしたのでしょう。

 

何か…もう何回か見たかった気持ちですが、もう映像が残っていないので残念です。

 

 

 

3.ラジオ番組にて、いきなりスピッツの新曲を発表!

 

極めつけは、何とスピッツの新曲が、ラジオ番組『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』の6月14日のオンエアにて、何の告知もなく発表されました。


この日の番組のテーマが、【日本のロック最盛期1999年で漫遊記】であったのですが…実は最近あんまりロック大陸漫遊記を、僕自身が聴いていなくてですね、テーマが面白そうだと、久しぶりに聴こうと思った矢先でした。

 

ちなみに、ツイッターで、この日のロック大陸漫遊記で、何やらスピッツが新曲を発表したというツイートが流れていました。あんまり、こういう先んじたネタバレは好きではないですが…でも、そういうことならば、余計に楽しみな気持ちになったことを覚えています。

 

 

そして、ラジオが始まり、いきなり冒頭の語りから、新曲のことについて語られ始めました。該当箇所を少しだけ、文字起こししてみます。

 


草野さん「…そして、漫遊前の1曲なんですけども、この話の流れだと、スピッツの99年の曲をかけそうなところなんですけれども、今日は何と新曲を聴いていただこうと思います。緊急事態宣言、前後含めて2ヶ月間くらい、ほぼステイホームで、俺らだけじゃなく世の中の人皆さん過ごされたと思うんですけども、スピッツ、リモートでどこまでレコーディングできるかっていうのをやってみまして、一度もメンバー同士顔を合わせることなく、時間差で音を重ねて、データのやり取りなんかで、結構できちゃうもんだなという感じで、何かできちゃったんで、今日はそれを聴いていただこうと思います。」

 

という感じで、ごく自然につるっと語り、新曲の【猫ちぐら】が流れました。


ざっくりとした曲の感想ですが、曲のタイトルからも漂っている、のんびりとした優しい感じの曲です。歌詞については、今のステイホームな感じと、そこから抜け出していくような感じの内容になっている気がしました。

 

ちなみに、”猫ちぐら”とは、猫用に作られた、一般的にはかまくら型の寝床のようです。元々は、人間の赤ちゃん用に、わらで編んだゆりかごのことを、”ちぐら”や”つぐら”といっていたようですが、猫が暗くて狭い所に好んで入るという習性を利用して、猫用に作られるようになったそうです。

 

なので、このタイトルからも、(ステイ)ホームの温かさだったり、そこから出かけよう・出かけたいという気持ちが表わされている気がします。

 

…という、今の所は、これくらいの感想で留めておきます。これから、どういう形でこの【猫ちぐら】が発表・リリースされるのか楽しみに待ちつつ、またいつか、この曲については語ってみたいと思っています。

 

 

 

 おまけ1.【空も飛べるはず】のMVが、著作権侵害のために削除!?

 

…と思って、今見に行ったら、見事復活していましたね、良かったです。でも本当に、一時的に削除されてたんですよ、何で?

 

youtu.be

 

 

 

 おまけ2.スピッツ大学の総アクセス数が500万PVを超えました!

 

ということで、ここまで読んでくだった方がおられましたら、いつものことながらありがとうございます。

 

ろくに、記事を更新していないこの期間で、スピッツ大学の総アクセス数が、500万PVを超えました。本当に記事を書いていないので、何か申し訳ない感じなんですけど、ありがとうございます。

 

相変わらず、当分はこんな風に、何かスピッツにとって大きな動きがあった時にでも、ひょこっと表れて、不定期に記事を残しては、また消えていく、そんなブログになると思いますが、よろしくお願いします。

再びスピッツ大学の一旦休止に際して +おまけ

■どうも、お久しぶりです。キャラを忘れた頃に、学長のitukamitanijiでございます。現在、リアルタイムで(2020年の)ゴールデンウィーク真っただ中でございます。

 

まさに、未曽有の出来事…新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、僕の(リアルな)仕事にも多大な影響が出ていまして、今年のGWは、その全ての休日・祝日を休んでおり、通算5連休という”慣れない”連続休暇を、若干持て余し気味に過ごしています。

 

普段からも、十分出不精な僕なのですが、まぁこういう世間状況なので、どこかへ出かけるということは、ほとんど皆無になりました。

 

とにかく今は、自分にできることを精一杯やるだけだと腹をくくり、いつか元の生活が戻ってくるだろうことを思って、自分の勉強の時間だったり、仕事の形態を変えつつも少しずつ準備を進めたり、もちろん趣味の時間に当てたりして、日々過ごしているところです。

 


■趣味と言えば、このスピッツ大学…仰々しい名前ですが、つまりはブログですね。家から一歩も出ずに楽しめる趣味のひとつとしては、こういう文章を書いたり、本を読んだりすることって、場所を選ばない良い趣味だなとつくづく思います。

 

で、GW中はかなり時間があったので、ちょっとだけ頑張って、連続で記事を更新させていただきました。

 


「30-DAY SONG CHALLENGE(前編 / 後編)」

 

記事でも触れている通り、30のテーマに沿った曲を紹介していくという、海外発信の企画(?)なのですが、ここはスピッツ大学ということで、スピッツ縛りでやってみました。

 

…が、いくつかはスピッツでどうしても縛ることができなくて、個人的には、何か中途半端な企画になってしまったなぁと、記事を書きながら思ってましたね苦笑。

 


「243時限目:ブランケット」と「アルバム講義:16th Album『見っけ』」

 

一応、この2つの記事で以って、アルバム『見っけ』関連の記事は終わりでございます。アルバムが発売になったのが、2019年10月9日のことだったので、およそ7ヶ月かけて記事を書いていったということになるわけですね。

 

割と忙しい日々を過ごしていたので、不定期に書いていったのですが、あまり急いで書き過ぎるのも、何かもったいないなぁ…と思いつつ書いていたので、まぁこれはこれでちょうど良かったのかな、とも思っています。

 


■ということで、”再び”なんですが…

 

現時点における、スピッツの”全曲”と”全アルバム”の研究が終わりました。なので、スピッツ大学は、また再び長い休止期間に入ります。まぁ、また3年後くらいには、スピッツは新しいアルバムを発表してくれるはずですし、その間も、ひょっとしたら新曲を発表するかもしれません。その時には、また必ず記事を書きたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

まぁ新曲のリリースなどがなくても、何か思い出したように、時々は何か企画を立てて、記事を書いたりしようと思っていますが、やっぱり1曲1曲の考察をすることが好きで、それに重きを置いてやってきた以上、(今さら無理やり)企画を考えてあれこれ書いていくのも微妙に思うので、ここで休止と言わせていただきます。

 


動画なんかも、これまでは時々作ったりしてたんですけど、去年なんかは結局ひとつもできなかったですね。

 

でも実は去年、とある企画で動画を作ってたんですよ。結構時間がかかる企画でして…まぁ言ってしまえば、スピッツソートというものを、新しく作ってくださった方が居られて、それに挑戦した模様を動画にしようと計画してたんです。

 

ちなみに、新しいスピッツソートは、こちらでございます↓ 僕がコメント残しているのは、見なかったことにしてください笑

 

スピッツソート

http://arc.hiv/sort/items/3953

 

しかしですね…何故か録画して編集していた動画ファイルが、途中で消えてしまったんです。僕が、何らかスマホの操作を誤ったんでしょうね、無くなっちゃったんです。そこから、未だに動き始めることができていません…苦笑。


実は、もうすぐスピッツ大学も、通算500万PVに到達するんですよ。なので、何かやりたいな、とか思いつつも、もうネタもないですし、手をこまねいているところです。まぁ、件のソートの動画をもう一回やるのもいいし(というより、絶対どこかでやらないといけないですね…)、他にも何か面白そうな企画がございましたら、コメントなどで教えてください。

 


■まぁとにかく、また全曲書き切ることができました。

 

これも一重に、スピッツ大学にたくさんの人が勉強しに来てくださった…記事を読んでくださったおかげです。全然記事を書かない時期が長く続いても、たくさんの人が見て下さっていて、毎度のことながら、そういうことはモチベーションになっていました。完全な自己満足ですけどね。

 

本当にありがとうございました。これからも、よろしくお願いします!

 

itukamitaniji 記

 

 

***

 

■ということで、あいさつはこれくらいなのですが、せっかくなのでもう少し書いてみようと思います。やはり、今の状況に触れないわけにもいかないですね。

 

今回の事態については、さすがに僕自身も結構大きな影響を受けていて、疲れちゃっているのは事実です。その中でも、冒頭で書いたとおり、今できることをやっている、という段階なのです。

 

で、色々考えた結果…こういう時期だからこそ聴きたい(個人的に力をもらっている)スピッツの曲を紹介してみようかなと思います。一応、3曲用意しました。もう何度も語った(かもしれない)話の焼き増しなのですが、予めご了承を。

 


【スピカ】

スピカ

スピカ

  • provided courtesy of iTunes

 

高校受験の時に、この曲を聴きながら勉強をしていたのを覚えています。なので、付き合いとしては、もうかれこれ20年くらいになるんです。

 

ここスピッツ大学で、長きに渡ってランキング企画を行っていたんですけど、そこで1位に選ばれたのがこの曲でした。ちなみにシングルでは、【楓】と両A面なのですが、こちらが1位になったというところも、意外でしたが、どこかスピッツファンらしいなと思いました。

 

【スピカ】には、個人的にもすごく好きな歌詞がたくさん出てきます。

 


この坂道も そろそろピークで
バカらしい嘘も消え去りそうです
やがて来る 大好きな季節を思い描いてたら

 


夢のはじまり まだ少し甘い味です
割れ物は手に持って 運べばいいでしょう

 

そして、極めつけのこんな歌詞

 


幸せは途切れながらも 続くのです

 

こういう妙に納得しちゃうような、すごい良いことを、急にすんなりと歌っちゃうあたり、にくいなぁと思います。

 

youtu.be

 


【こんにちは】

こんにちは

こんにちは

  • provided courtesy of iTunes

 

最近またハマっているのが、【こんにちは】という曲です。アルバム『醒めない』の最後に入っています。

 

この曲の背景には、未だ東日本大震災があって、アルバム『醒めない』はそこから立ち直っていくことを、”再生”という物語で表現したアルバムでした(もちろん、それだけではないんでしょうけど)。

 

その最後を飾る、【こんにちは】という曲は、ようやくたどり着いた”再会”の場面がこの曲では描かれています。

 


また会えるとは思いもしなかった
元気かはわからんけど生きてたね
ひとまず出た言葉は「こんにちは」
近づくそのスマイルも憎らしく

 


心に生えた足でどこまでも
歩いて行けるんだと気がついて
こんな日のために僕は歩いてる
おもろくて脆い星の背中を

 

まさに、今の状況が終わった後の日々に、希望を抱かせるような歌詞になっていて、とても励まされるなと思います。

 

個人的に、後半の”心に生えた足で…”という部分の歌詞が好きなんです。今ちょうど、テレビで”リモート〇〇”の特集みたいなことをやってるのを観てますが、やっぱり本当の意味での”再会”っていうのは、実際に会えた時ですよね。

 

実際に外に出て、人に会って、話をしたりすることって、”物理的”に会っているだけではなくて、”心”の触れ合いだと思うんです。だから、やっぱりそういうことができるようになったら、この緊急事態も終わったなぁって、本当に思うんじゃないかなって思ってます。

 


【僕はきっと旅に出る】

僕はきっと旅に出る

僕はきっと旅に出る

  • provided courtesy of iTunes

 

やっぱりこの曲ですね、何回このスピッツ大学で推してるんだってね、笑 普段からも、何度も励まされているんですが、今の状況になってから、また余計に感慨深く聴いているところです。

 


僕はきっと旅に出る 今はまだ難しいけど
初夏の虫のように 刹那の命はずませ
小さな雲のすき間に ひとつだけ星が光る
たぶんそれは叶うよ 願い続けてれば
愚かだろうか? 想像じゃなくなるそん時まで

 

この歌に草野さんが・スピッツが込めた想いは、当時草野さんがラジオでも語っていましたが、「旅にまだ出られない状況の歌、でも旅に出たいなぁっていう、そういうときの心境」というものでした。

 

もちろん、この当時では、現在2020年の”コロナ危機”が起こることなんて想像だにできませんが、それでも【僕はきっと旅に出る】という歌で歌われていることは、いつの時代の色んな状況に通じるような普遍的なものであり、だからこそ時を越えて、今また響いてくるんだと思います。

 

あの時も同じ気持ちでしたが、今はまだ”旅に出る準備期間”なんですよね。だから、今はとにかくできることをやっている段階です。いつかまた、元通りに戻ったときのことを思って、少しずつ準備を進めていきましょう。

 

もちろん、どうか皆様も、健康第一でお過ごしください。

 

youtu.be

アルバム講義:16th Album『見っけ』

見っけ(初回限定盤)(SHM-CD+DVD付)

16th Album『見っけ』
発売日:2019年10月9日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 見っけ
→ 232時限目:見っけ

 

02. 優しいあの子
→ 230時限目:優しいあの子 - スピッツ大学

 

03. ありがとさん
→ 233時限目:ありがとさん - スピッツ大学

 

04. ラジオデイズ
→ 234時限目:ラジオデイズ - スピッツ大学

 

05. 花と虫
→ 235時限目:花と虫 - スピッツ大学

 

06. ブービー
→ 236時限目:ブービー - スピッツ大学

 

07. 快速
→ 237時限目:快速 - スピッツ大学

 

08. YM71D
→ 238時限目:YM71D - スピッツ大学

 

09. はぐれ狼
→ 239時限目:はぐれ狼 - スピッツ大学

 

10. まがった僕のしっぽ
→ 240時限目:まがった僕のしっぽ - スピッツ大学

 

11. 初夏の日
→ 241時限目:初夏の日 - スピッツ大学

 

12. ヤマブキ
→ 242時限目:ヤマブキ - スピッツ大学

 

BONUS TRACK
13. ブランケット
→ 243時限目:ブランケット - スピッツ大学

 


■前作『醒めない』から3年2ヶ月を経て、今作『見っけ』は発売されました。スピッツのオリジナルアルバムの発売周期としては、およそ3年というのが知られているので、割とその通りになりましたね。

 

2017年、スピッツは結成30周年を迎えました。前作『醒めない』は、その幕開けを飾る作品で、そこから30周年イヤーが本格的に始まりました。

 

30周年記念のライヴツアー…通称”3050ライヴ”が開催、シングルコレクションの発売、そして早くも30周年ライヴツアーの映像作品の発売など、それらの全てが、僕らスピッツファンにとっては嬉しいものでした。

 

しかし、何より嬉しいことは、当たり前ですが、まだこれからも”スピッツが続いていく→→→→→”ということだったはずです。僕も、初めてライヴに参加したのですが、そこで草野さんは、「30年やってきましたが、まだ通過点です。これからも面白い歌を作っていきますので、よろしくお願いします」という風に、声高らかに宣言していたことが、何より嬉しく覚えています。

 

30周年が過ぎていき、じゃあ30年経った後の、その先のスピッツは、一体どんな”面白い歌”を発表するのだろう…と、先述の”スピッツ3年周期法則”に則り、2019年に入った頃から、何となくソワソワしていたのを覚えています。

 


■まず動きがあったのは、2019年の2月頃のこと。スピッツの新曲【優しいあの子】が、NHK連続テレビ小説(通称:朝ドラ)「なつぞら」の主題歌に選ばれたことが発表されました。

 

なつぞら」は、朝ドラでも記念すべき通算100作目であるらしく、その朝ドラの主題歌をスピッツが担当するということに、とても自然のことのように、ピッタリだな!と思ったことを覚えています。

 

そして、2019年4月1日。世の中的には、新しい元号”令和”が発表された日としても記念すべき日でしたが、その日に「なつぞら」が始まり、同時に【優しいあの子】も解禁されました。ちなみに、2019年4月1日は、僕個人的にも新しい環境での仕事を始めた日だったので、色々と噛みしめながら仕事をスタートさせたことを覚えています。

 

【優しいあの子】を初めて聴いた時に、タイトル通りに優しい、スピッツらしい曲だと思ったことを覚えています。しかし、程なく発売されたシングル『優しいあの子』では、僕は完全にカップリングの【悪役】派です!

 


■そして、またそこから程なくして、アルバム『見っけ』の情報が少しずつ解禁されていきました。

 

いち早く、アルバム発売前にラジオで解禁された【ラジオデイズ】と、MVまで解禁になった【ありがとさん】、ファンクラブ会員限定ライヴですでに披露されていた【ヤマブキ】(【悪役】未収録は残念!)、古くからあって未発表曲だった【初夏の日】、そして、NTTのテレビCMソングに選ばれた表題曲の【見っけ】など。

 

ヘンテコなアルバムタイトルと、ヘンテコな曲名がそこに並んでいていましたね…いつも通り笑。

 


さて、そのヘンテコなアルバムタイトル『見っけ』についてですが、インタビュー記事によると、最初は「人と違う自分、人と違うあなたを認めたい」という気持ちを込めた「まがった僕のしっぽ」というタイトルが候補に挙がりつつも、

 


草野さん「…でもアルバムタイトルとしてはちょっと長いから、やっぱり『見っけ』かなと。………ユリイカって言葉あるじゃないですか、あれ『見っけ』って意味なんですよ。発見した、私は見つけた!っていうような意味でアルキメデスが叫んだ言葉らしいんだけど…」

 

ということだそうです。”ユリイカ”としても(した方が?)十分かっこいいと思うんですけどね、あくまで日本語にこだわりたいということで、”見っけ”というタイトルが採用されたそうです。


では、そもそも、この”見っけ”という言葉や作品には、どんな意味が込められているのか。作品の情報を雑誌やネットで集めつつ、実際に作品を聴いていく中で、個人的には2つの意味を受け取りました。その辺りを紹介しつつ、アルバム『見っけ』がどんなアルバムだったのかを、書いてみます。

 

 

 

①また新たなロックを”見っけ”た、新しいスピッツの始まり

 

■アルバム『見っけ』を初めて一通り聴いた時のことを思い返すと、最初に抱いた印象は、「新しい!」でした。もちろん、初めて聴く曲がほとんどだったので、新しいと感じることは当然なんですけど、それを差し置いても、曲の展開だったり、歌詞の感じなどが、これまでのスピッツになく新しいと感じたところがたくさんありました。

 

例えば、特に【花と虫】【はぐれ狼】【まがった僕のしっぽ】などで顕著に感じたのは、1曲1曲の物語性が強いというところでした。

 

前作『醒めない』も、確かにコンセプトとして”死と再生”という物語があったんですけど、それよりもより具体的だなと思ったんです。



まずは、【花と虫】。

 

これは、何となく【優しいあの子】との対比になっているような気がしています。


”故郷”に残った…あるいは”故郷”に戻ってきた者と、その故郷を離れ、”都会”で生活をしている者が居て、【優しいあの子】は”故郷”→”都会”という方向で歌われている歌に対して、【花と虫】は”都会”→”故郷”という方向で歌われている歌だという印象です。

 


■そして、個人的には、この辺りがこのアルバムの核になっているんだろうと感じ、”はぐれ狼クロニクル”と勝手に呼んでいる物語があります。

 

具体的には、【はぐれ狼】と【まがった僕のしっぽ】の2曲については、完全にひとつながりで聴いています。つまり、両曲とも”はぐれ狼”が主人公だという印象です。何なら、【ヤマブキ】も繋げて、”はぐれ狼クロニクル”として聴いています。

 

群れからはぐれるように生きていた”はぐれ狼”が、”暗いうちに街から逃げた”ところから始まって、そこから旅を続けてたどり着いたのが、”(ロック)大陸の隅っこにある街”だった。そして、”はぐれ狼”として生きていく決意を胸に、”崖の上”で孤高に咲く”ヤマブキ”に憧れを抱き、さらに高みを目指して"よじ登っていく"という物語です。

 

そう考えると、【ラジオデイズ】は、”はぐれ狼”がロックに目覚めるところと考えることもできそうです。

 

さらに言うと、”はぐれ狼クロニクル”は、そのままスピッツや草野さんの物語として読むこともできそうです…というより、インタビューなどを読むほど、ほとんどそうなんだろうなって思えてきます。

 


■他に、”新しい”と感じたところについては、曲の展開に驚いたところもたくさんありました。

 

【ラジオデイズ】では、間奏で草野さんがラジオでしゃべっているような音源が差し込まれていたり、【快速】では、イントロで近未来的な駅のアナウンスのようなエフェクトがなされていたり、【見っけ】や【ヤマブキ】でもプログラミングやキーボードの音が印象的でした。

 

極めつけは、【まがった僕のしっぽ】のCメロの展開ですよね。当曲は、そこまでも、結構今までのスピッツで聴いたことのないような、昔話を語るような曲調で進んでいくんですが、Cメロで一転、悪魔的でハードロックな曲調に変わるのです。

 

30年以上長く活動してきたバンドなのに、歌詞の雰囲気にも曲の展開にも、”新しい”ことに挑戦していくのは、本当にすごいなって思ったんですけど、何よりすごいのは、それでも”スピッツスピッツ”だと思わせてくれるところだと思います。

 

 

 

②”死と再生”を乗り越えた先の、”見っけ”の物語

 

■前オリジナルアルバムの『醒めない』と、前々オリジナルアルバム『小さな生き物』で綴られていたのが、”死と再生”の物語という風に言われています。少し振り返ってみると…

 

14th Album 『小さな生き物』
「未だ、震災の傷跡が残る人々の心をなぐさめる作品。いつかまた旅に出る準備段階」

 

15th Album『醒めない』
「”死と再生”の物語。前作の”いつか旅に出る準備段階”から続く、今作は”旅に出て少しずつ心を取り戻していく”=”再生”の物語」

 

つまり、アルバム『小さな生き物』は、”死”から”再生”に向かっていくその準備段階、アルバム『醒めない』は、どちらかというと”再生”の内容が強い物語、と個人的には考えています。

 

そうすると、16th Album『見っけ』については、”死と再生”の次の物語と考えることができるかもしれません。”死と再生”というのは、どちらかというと、過去の物を元通りにする、失った時間や自分を取り戻す、などの意味合いが強いような気がしますよね。ではその次は…?

 

というと、また新しい出会い、新しい自分の発見などに繋がっていくのではないでしょうか。そして、それを”見っけ”の物語として紡いだのではないでしょうか。

 


■こっちの”見っけ”に関しては、表題曲であり1曲目を飾っている、【見っけ】という曲そのものから、特に感じ取ったことでした。

 

【見っけ】の歌詞には、いきなり”再会”という言葉が出てきます。

 


再会へ!消えそうな 道を辿りたい
すぐに準備しよう
人間になんないで 繰り返す物語
ついに場外へ

 

思い返してみると、アルバム『小さな生き物』~アルバム『醒めない』については、『醒めない』の最後の曲【こんにちは】で、ようやく再会にたどり着いたような感じでした。それを考えると、1曲目で”再会”という言葉が出てくるアルバム『見っけ』は、それだけで特別な感じがしました。

 

ただ、上述の歌詞の後半2行について考えてみると、ひょっとしたら、”死後”に再会ということも考えられなくもないです。例えば、僕自身が【見っけ】の記事で書いたのを引用すると…

 


死して肉体は滅びてもなお、その魂は、誰か大切な人との”再会”を願い続けていた。その想いだけをずっと留めたまま、色んな生き物に生まれ変わりながら、ずっとずっとその大切な人を探していた。そして、そういう物語が報われてゴールへと…ついに大切な人との再会を果たす。だから、もう生まれ変わる必要がなくなった、と。

 

こういう風に考えると、言い方は悪いかもしれませんが、全ての死が、全ての魂が報われる結末…つまり、”死と再生”の物語の終わりにたどり着いたのではないかな、って感じたんです。

 

そして、そこから新しい出会いの物語…”見っけ”の物語が始まった、と。

 

改めて、アルバム『見っけ』の曲には、出会いだったり、新しくどこかにたどり着くような曲が多い気がします。

 

【ラジオデイズ】では、ラジオをきっかけにたくさんの音楽に(草野さんが)出会ったことを、【花と虫】では、故郷を離れて新しい場所で生きていく姿が描かれていたり、【快速】でも、自分がいるところから何処かへ向かっている姿が描かれていたりします。

 

先程紹介した、”はぐれ狼クロニクル”に関してもそうですね。草野さんがロックに出会い、スピッツのメンバーに出会い、唯一無二のスピッツロックを確立していく流れを描いているように読めます。

 


■と、色々なことを書いてきましたが、このアルバム『見っけ』で以って、スピッツはまた新しい時代に突入したんじゃないかな、と思うんです。

 

個人的な分け方として、アルバム『とげまる』からは、スピッツは”第四期”であると考えていたんですが、このアルバム『見っけ』で、”第五期”に突入したのかとさえ思うのです。

 

youtu.be

 

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個人的にツボな、スピッツと音尾さんのコラボ…いつ見ても笑ってしまう笑

243時限目:ブランケット

【ブランケット】

 

■アルバム『見っけ』の、初回限定盤、アナログ盤、デラックスエディション Spitzbergen会員限定盤にのみ、ボーナストラックとして収録されています。これはあれですね、アルバム『小さな生き物』のデラックスエディション盤などにボーナストラックとして、【エスペランサ】が収録されたのと同じ感じですかね。

 

【ブランケット】に関しては、元々は2017年に発売になった、平井堅さんのベストアルバム『Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ2』に付属している、Special Disc『歌バカだけに』に入っている、平井堅さんが歌っているバージョンが先のようです。

 

Special Disc『歌バカだけに』は、敬愛するミュージシャンに書き下ろしてもらった曲を、平井堅さんが歌うという趣旨で作られたディスクだそうですが、そのディスクの収録曲の一曲が、スピッツ草野正宗さんが書き下ろした【ブランケット】だったようです。

 

で、今回のアルバム『見っけ』にて、スピッツがその【ブランケット】をセルフカバーした、というのが流れのようです。

 


平井堅バージョンの【ブランケット】は、バンドサウンドではなくて、電子音っていうんですかね、エレクトロニカサウンドで、割と明るく聴こえてきます。ここのアプローチまで、草野さんのアイデアだったのでしょうか?ちなみに、少し聴くことができますが、こんな感じです↓

 

youtu.be

(※4:13あたりから【ブランケット】)

 

一方、スピッツバージョンの【ブランケット】ですが、さすが、バンドサウンドとして生まれ変わってますね。ただ、歌詞の雰囲気とも相まって、明るいという感じではなく、どこか重苦しく寂しい感じで、退廃的にさえ聴こえてくるのは、平井堅バージョンとは異なるような気がします。

 

この曲がアルバム『見っけ』の”ボーナストラック”になっていることについて考えてみるんですけど、まぁ元々は平井堅さんに提供された曲で、それをセルフカバーしたので、そこで線引きしたということはもちろんあると思うんですけど、そうでなくてもアルバム『見っけ』に入れるには、雰囲気は合わない感じはします。

 

先程言った通り、寂しく退廃的な感じは、アルバム『見っけ』では感じることはありませんでした。まぁ、あるとすれば【ブービー】がありましたが、何となく種類は異なるような気がします。そういうところもあって、アルバムの中では、あくまでボーナストラックとしたのかなと思っています。

 


■では、歌詞を読んで、印象に残った部分を繋げていってみます。

 


わかってんだ みんなが言うような 幸せ
そんなもんは 手に入る時 しぼんでく

 

まず、出だしがこんな感じです。ここからもう、すでに恵まれたような物語は想像し難いですよね。”僕”が、幸せを掴むことへの諦めの気持ちを持っているという描写に読み取れるような気がします。

 

しかも、”手に入る時 しぼんでく”ですからね。何ていうか、幸せに届きそうなところまで、届く寸前まで到達して、期待させておいてからそれが打ち砕かれたような物語も想像できそうです。

 

さらに、最初に”わかってんだ”という強い言葉で始まっているところから、そういうことをすでに経験したことがあるとか、そうでなくでも、これまで生きてきた世の中を鑑みると、そういうものだろうという、どこか達観したような心情も読み取ることができます。

 



人間は 飛べるもんだとか 思ってた
ゆらゆらと 君の街まで 行けるはず

 


色のある明日 もしも来るのなら
定めを外れて 落ちていこう

 


ありがとう 心がまとまり
ついに僕は 姿を変える

 

続いて、Aメロ、サビ、Bメロに出てくる歌詞を、それぞれ抜き出して載せてみました。これらを繋げて読んでみると…。

 

まず、最初の2行については、”人間は 飛べるもんだとか 思ってた”の部分がひっかかります。ここは、出だしのところからのつながりなので、”飛べるもんだと…”=幸せに届くような気がしていた、と訳すこともできるかもしれませんが、”君の街まで…”という描写とつなげると、もしかしたら”飛び降り自殺”などの、自ら命を絶った描写とも考えられるかもしれません。

 

次の2行については、”定めを外れて 落ちていこう”という表現があからさまに読めます。先ほどの、”飛べるもんだとか 思ってた”という表現ともつながり、結局人間は飛ぶことができないから、落ちていくだけなので、これもそのまま”飛び降り自殺”を想像させます。

 

しかもここには、”定めを外れて”という言葉がくっついているので、”定め”というものを、”この世で生きていくという運命”というものに置き換えて考えると、そこから”外れて”しまうので、つまりこれも”死”を意味するのではないかと考えることができそうです。

 

で、そこから最後の2行に繋がっていくわけですが、ここには”ついに僕は 姿を変える”という言葉があります。ここに関しては、タイトルにもなっていますが、”ブランケット”という言葉が出てくるサビの歌詞に繋がっていきます。

 



わがままな望み 今カタチを持って
それだけのために生きていこう
気付かれなくても こごえそうな君を
優しく包める ブランケットに

 

これがサビの歌詞ですが、”姿を変える”=”こごえそうな君を 優しく包める ブランケットに”と読むことができるかもしれません。”カタチ”という、カタカナ表現もひっかかりますね。

 


■まず、この歌詞でいう”僕”にとっての”幸せ”とは、”君”という存在がこの歌詞には出てくるので、”君”と過ごす時間だったり、”君”への気持ちの成就と考えることができます。

 

ただ、冒頭にあるように、”僕”はもう、現世ではその幸せを掴むことができなくなってしまった、あるいは、幸せを掴むことを諦めてしまいました。

 

そこで、”僕”は命を絶つ決意をします。現世でこの想いが叶わないのなら、命を絶ち、姿を変えて”君”の側に居ようとしたんですね。つまり、ここが”ブランケット”の下りだと思っています。

 

死んでいく者が生きている者に向けて、少しでも安心させるために、「僕が死んでも、星になって君をずっと見守ってるからね」などという言葉をかけるシーンがありますよね。ああいう感じのことを、この歌の”僕”はまさに実行しようとしたのではないでしょうか。

 

”ブランケット”とは比喩表現であるとして、つまりは、”君”がこごえそうなとき…つらく苦しい時に、それを少しでもなぐさめてあげられるような存在になって、ずっと見守っているよ、ということだと思います。

 


■…という風に、こんな物語を想像していたんですけど、それと同時に、アルバム『見っけ』の中の、とある曲のこともダブって考えていたんです。

 

それは、【ありがとさん】という曲です。【ありがとさん】は、いわゆる”死者目線”で書かれた歌詞だと、雑誌で草野さんが語っていました。そして、【ありがとさん】には、こんな歌詞が出てきます。

 


いつか常識的な形を失ったら
そん時は化けてでも届けよう ありがとさん

 

【ありがとさん】は、自ら命を絶つという感じでは読めないので、両曲が同じ物語であるとは考えていませんが、【ブランケット】の”僕”とは、心情的には同じなのではないかと思ったんです。つまり、”死してもなお君を見守っている”という心情です。そういうものを、両曲とも描写しているのではないか、と想像しています。

ほぼスピッツ縛りで「30-DAY SONG CHALLENGE」をやってみた! 後編

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■今回の記事は…

 

ほぼスピッツ縛りで
30-DAY SONG CHALLENGEを
やってみた!

 

の、後編の記事になります。後編に関しては、ますますスピッツ縛りでやるのが難しくなってしまっており、”ほぼ”感がかなり増していますが、予めご了承ください。

前編 →  https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2020/04/26/231203

 

では、さっそく参ります!

 

 

 

Day16 お気に入りの名曲

スピッツならば全曲です!

 


Day17 カラオケで誰かとデュエットしたくなる曲
【ヘチマの花】

ヘチマの花

ヘチマの花

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(僕が)デュエットしたい、というより、(草野さんが)デュエットしている曲を選ぼうと思った時、真っ先に思い浮かんだのが、この【ヘチマの花】という曲でした。熱心なスピッツファンでない限り、あんまり聴いたことのある人は少ないかもしれませんが、この曲では珍しく、草野さんと、寺本りえ子さんという方のデュエットが聴けます。草野さんのボーカルは唯一無二のものであるため、スピッツの曲には草野ボーカルのみで十分なのですが、だからこそ、こういう草野さん以外のボーカルが引き立っている曲は稀有だと思うんです。

 

 

Day18 生まれ年の曲(番外編)
1984 / andymori

1984

1984

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生まれた年(である1984年をタイトルにした)の曲です。発表されたのは、2010年であり、同年2月3日に発売になったアルバム『ファンファーレと熱狂』に収録されています。

 

話がそれますが、僕はandymoriに対して特別な思い出がありまして…あれは、andymoriのアルバム『革命』が発売になってすぐのことだったから、2011年のことですね。まさに、その発売してすぐの『革命』をウォークマンで聴きながら、仕事帰りにご飯を食べようと、独りで駅を歩いていたんです。

 

するとですね、何と…駅にandymoriのメンバーお三方が立ってるのを発見したのです!ちなみに、この時にはもう新メンバーになっていたので、小山田壮平さんと、藤原寛さんと岡山健二さんが居ました。どうやら、マネージャーの方が新幹線のチケットを買っているのを待っているらしく、普通に3人が立っていたんです。小山田さんは何故か、小さなギター(ウクレレ?)をポロンポロンと鳴らしながら待っていました。

 

しばらく遠くから眺めた後、思い切って近づいて行って、お三方に話しかけたのです。

 

「すみません、andymoriの方たちですよね!ファンです!ちょうど今『革命』を聴いていました(ウォークマンを指さしながら)。」

 

とこういう感じで話かけたんです。そしたら、ありがとう!って言っていただいて、お三方と握手をして、少しだけしゃべったんです。ちなみに、僕と壮平さんは同い年なので、「壮平さん!僕、壮平さんと同い年なんです!」と言うと、「おぉー、1984!」と言って、また握手してくれました。

 

いやぁ、すごい良い人たちでしたが、全然普通の人でしたね。当たり前ですけど、普通にロックスターも生きてるんだなってことを感じました。ちなみにその年は、夏フェスとワンマンで2回もandymoriのライヴを見ることができた、まさにandymoriイヤーになりました。

 

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Day19 人生について考えさせられる曲
【ハネモノ】

ハネモノ

ハネモノ

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直感で、【ハネモノ】を選ばせていただきました。数年前、インフルエンザに罹ってしまい、数日間仕事を休むことを余儀なくされたことがありました。その時に、何故かハマって聴いていたのが、【ハネモノ】でした。スピッツの曲は面白いもので、”特定の曲にハマる”ことってよくありますよね。この曲もそうでした。この曲は結構考えさせる曲だなって思ってます。

 


ささやいて ときめいて
街を渡る 羽のような
思い通りの生き物に変わる

 

命が果てて成仏していくところか、はたまた、生まれてきた個体に命が宿る瞬間などを思わせるような歌詞であると思います。”街を渡る 羽のような”という歌詞からは、映画「フォレストガンプ」を思い浮かべました。何となく、ひらひらと風に漂う羽のように、様々な状況に翻弄されながら生きている人の人生みたいなものを描写しているのかな、と思っています。

 

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Day20 自分にとってたくさんの意味がある曲
【僕はきっと旅に出る】

 

似たようなテーマがDay30に出てきますので、そこでまとめて語っています。

 

 

Day21 曲名に人の名前がついている好きな曲
【アカネ】

アカネ

アカネ

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まぁ正確には、人の名前になり得るようなタイトルがついている曲ですかね。アカネという名前ってきれいで好きなんです。漢字で書くと”茜”が一般的でしょうか、他にも”朱音”とか、平仮名で”あかね”も日本的な感じで好きです。何ていうか、やっぱり日本人なので、日本的な名前って好きなんです、スピッツの曲名だったら、”楓”とか”いろは”とか、”渚”や”若葉”なんかも良いですね。ああ、あと一つ忘れちゃいけないのが、”正宗”でしょうか、カタカナだと”マサムネ”ですね。カッコいい名前だと思います。

 

 

Day22 前向きになれる曲
【けもの道】

けもの道

けもの道

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もう考える余地もなく、【けもの道】を選びました。もう何度も、この曲には励まされて、力をもらってきました。


この話も何度かさせていただいているのですが、草野さんの書く詩のテーマや特徴として、どこかに「がんばらない精神」を感じることがあるんです。これは想像も含めますが、草野さん自身が、いわゆるみんなが歌っている流行りの応援歌みたいなものを、そこまで重要視していない、ということが背景にあると思っています。

 

それでも、草野さんが誰かの頑張りを応援していないはずはないし、窮地に立たされた時に、日本や世界を憂い、それでも頑張っていこうと思っていないはずも当然ありません。しかし、それをあからさまにではなく、ちょっと分かりにくい感じに置き換えて歌ってきたってのはあると思うんです。まぁ、それがスピッツ歌詞の魅力であると思うんですけど。

 

しかし、そういうことを思いながら、この【けもの道】という曲を聴くと驚くんです。この歌ではしっかりと、”あきめないで”とか”怖がらないで”などという言葉や、アウトロでは”フレーフレーフレー”という、エールが聴こえてくるからです。まさしく、この歌は”応援歌”なんです。この歌が収録されているアルバムが生まれた時代背景には、アメリ同時多発テロがあるとされていますが、こういう歌詞を使わないといけない理由があって、だからこそ生まれるべくして生まれた、紛れもない応援歌であると思っています。

 

 

Day23 全人類が聴くべきだと思う曲

そんな曲はありません!みんなが好きな曲を聴くべきです!

 

 

Day24 解散してほしくなかったバンドの曲(番外編)

 

JUDY AND MARY

ステキなうた

ステキなうた

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andymori

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カフカ

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NICO Touches the Walls

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Day25 早くに亡くなったアーティストの好きな曲(番外編)
【茜色の夕日 / フジファブリック志村正彦)】

茜色の夕日

茜色の夕日

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フジファブリックは、ほとんど聴いたことは無いんですけど、やっぱり色んなことを考えると、早くに亡くなったアーティストと聞いて真っ先に思う浮かべるのは、志村さんかなと思います。それだけ、衝撃的だったと思います。

 

しかし、フジファブリックというバンドのすごい所は、今でもまだバンドが続いているというところだと思います。ギターボーカルというと、いわゆるそのバンドの顔じゃないですか。それを失うということは、もはや、そのバンドがそのバンドのままで存続するこはできないということと、ほとんど同義だと思うんです。でも、それでも、バンドが続いているということは、志村さんのことを、メンバーが愛して、ファンが愛して、そしてその魂を残していくという強い意志を感じます。

 

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Day26 恋をしたくなる曲
【恋のはじまり】

恋のはじまり

恋のはじまり

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恋をしたくなる、というより、恋に落ちたということを表している表現の歌詞という目線で選んでみました。これに関しては、本当に秀逸なのがたくさんあって、【恋は夕暮れ】とか【ありふれた人生】とか【魔法のコトバ】などもあったのですが、選考の結果、【恋のはじまり】のここの部分を紹介します。

 


それは恋のはじまり そして闇の終り
花屋のぞいたりして
それは恋のはじまり おかしな生き物
明日は晴れるだろう

 

ここの”花屋のぞいたりして”という表現が好きなんです。普段は、花なんて興味ないだろうに、恋に落ちたことで何となく優しい気持ちになって、花屋に入っちゃうんでしょうね笑

 

 

Day27 胸が張り裂けるような気分になる曲
【夜を駆ける】

夜を駆ける

夜を駆ける

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胸が”張り裂ける”という感覚を、スピッツで感じたことはないですかね。なのでテーマとは違うんですけど、ライヴで聴いた曲で、胸がつまるような感覚になった曲としては、【夜を駆ける】があります。何か映画でも見ているような、美しくも悲しい、そういう想いに浸れる曲だと思います。

 

 

Day28 歌声が好きなアーティスト(番外編)

スピッツ草野マサムネ)はもちろんなので、それ以外で紹介してみると…

 

藍坊主(hozzy)

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NICO Touches the Walls(光村龍哉

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peridots(タカハシコウキ)

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秦基博

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Salyu

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Day29 子供の頃から覚えている曲
【フェイクファー】

フェイクファー

フェイクファー

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これに関してもたくさんあるんですけど、子供の頃から覚えていて、かつ、一番印象に残っている曲という感じで考えると、真っ先に【フェイクファー】という曲が思い浮かびました。

 

アルバムでいうと、『インディゴ地平線』『フェイクファー』『花鳥風月』の3作品は、僕が小学生~中学生の頃に、カセットテープに吹き込んで、兄から譲り受けたカセットウォークマンで、もう何回も何回も繰り返し聴いた作品たちなんですけど、その中でも特に、アルバム『フェイクファー』は特別な作品でした。

 

アルバムの収録曲には、割と温かい感じの曲も多く入っていて、別に暗いという雰囲気は感じないのですが、アルバムの最後に表題曲である【フェイクファー】という曲が入っていることに、子どもの頃は、特別な想い…というか、恐怖を感じていたんです。

 

楽曲【フェイクファー】には、”たとえ全てがウソであっても”、”分かち合う物は何もない”、”偽りの海”などという歌詞が出てきて、これまでの温かいアルバムの雰囲気が、全部”フェイク”=”偽物”でした、と、極端に考えるとそういう風に歌われているような気がして、何か怖かったんです。

 

それでも、何かこの曲の魅力というか魔力というか、そういうものに憑りつかれてしまって、子供ながら、この曲だけをずっと繰り返し聴いていた、ということがありました。何とも言えない、”余韻”に浸ることが好きだったんです。

 

 

Day30 自分自身をあらわす曲
【僕はきっと旅に出る】

僕はきっと旅に出る

僕はきっと旅に出る

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自分自身を表す…というよりは、自分の気持ちや状況に、驚くほどシンクロしたというか、寄り添ってくれた曲です。東日本大震災の時(僕は、直接の被害を受けた人間ではないけれど)、そして、コロナウィルスの影響による今回の自粛生活…それによって、普段の生活を追われることを余儀なくされた方々に優しく寄り添ってくれる曲だと思います。

 

何より個人的には、仕事を辞めて、次の仕事に就くために、孤独で、何か申し訳ない気持ちで生活を送っていた頃に、この曲を聴いて頑張っていました。

 

タイトルからも分かるように、今すぐ旅に出ることではなくて、いつかまたきっと旅に出られるよ、ということを歌ってくれて、何となく焦っていた自分の気持ちが落ちついたことがたくさんありました。

 


僕はきっと旅に出る 今はまだ難しいけど
初夏の虫のように 刹那の命はずませ
小さな雲のすき間に ひとつだけ星が光る
たぶんそれは叶うよ 願い続けてれば
愚かだろうか? 想像じゃなくなるそん時まで

 

こういうことを歌ってくれているのは、他でもない、同じ苦しみを分かち合おうとする、草野さんの優しさや強さなんだと思います。本当に、草野さんの・スピッツの音楽に出会って良かったと、心底思うのです。

 

この曲に関しては、まさにリアルタイムで、また力をもらっています。今は、また”旅に出る準備段階”なんだとして、自分のできることをやろうと、頑張っている今日この頃です。

 

youtu.be

ほぼスピッツ縛りで「30-DAY SONG CHALLENGE」をやってみた! 前編

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ツイッターを見ていましたら、著名なブロガーの方が、”30-DAY SONG CHALLENGE”なるものをやっているのを見つけました。

 

正式なルールなどは、よく分からないんですけど、おそらく30日という期間の中で、お題に合った曲を1日ずつ紹介していく…という企画なんですかね?元々は、英語でかかれたものが先にあったようなので、海外(アメリカ?)発祥の企画なんですかね?

 

まぁとにかく、色んなお題に沿って曲を30曲セレクトしようと、そういう企画でございます。で、そのお題というのが、冒頭の画像になります。

 

そして、ここはスピッツ大学…それならば、僕はスピッツに絞ってやってみようじゃないか!…と思ったのですが、何曲かはスピッツで選ぶことができないお題がありました。


ということで、今回の企画は…

 

ほぼスピッツ縛りで
30-DAY SONG CHALLENGEを
やってみた!

 

結構長くなりそうなので、とりあえずこの記事は、その前編です。

後編 → https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2020/05/02/143851

 

では、さっそく参ります!

 


Day1 曲名に色の名前がついた好きな曲
【水色の街】 

水色の街

水色の街

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スピッツには、”長い長い物語の一部を切り取った”ような曲ってたくさんあると思っています。【水色の街】に出てくる主人公たちは、どんな出会いがあったのか、2人でどのように過ごしてきたのか、(あるいは、どのように別れたのか)などの物語が、本当はあると思うんですが、この歌で語られているのは、主人公たちにとっては、ほんの一部に過ぎない。だからこそ、色んな物語を想像できる、そういう曲(のひとつ)だと思います。

 

youtu.be

 

 

Day2 曲名に数字が入っている好きな曲
【1987→】

1987→

1987→

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スピッツの結成年は1987年なのですが、ずばりそれをタイトルに冠して作られた、30周年の節目ソングです。長く活動をしてきて、それなりのキャリアや地位を築いてきたはずのスピッツですが、それでも30周年で歌われている内容としては、”ヒーローを引き立てる役さ きっとザコキャラのままだろう”などという、一見すると謙虚すぎる言葉…しかし、これこそがまさにスピッツを形容するにふさわしい表現なんだと思います。

 

youtu.be

 

 

Day3 夏を思い出させる曲
【プール】

プール

プール

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スピッツの夏曲と言えば、【渚】や【夏の魔物】などもあると思いますが、個人的に、【プール】を選ばせていただきました。この曲は、個人的には性的な方向へと解釈をしたんですけど…まぁ、それでも普段に聴く時には、そんなに気にして聴いてはいません。独特の浮遊感というか、そのまま消えていってしまいそうな白昼夢を見ている感じが怪しくて、それがクセになってしまう、そんな名曲です。

 

 

 

Day4 忘れたい人を思い出させる曲
【猫になりたい】

猫になりたい

猫になりたい

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さすがにもう、”忘れたい”という感覚はないですけれど…まぁ思い出させる曲ではありますかね。

 

大学生の時にやっていたアルバイトの先輩たちとカラオケに行った時に、女性の先輩の一人が、いきなりスピッツの【猫になりたい】を入れて歌い始めたんです。僕が【猫になりたい】という曲を知っていることはもちろん、スピッツ好きだということすらも、まだ話したことなかった頃だったので、ただ単にその人が好きな歌を入れて歌ったんでしょうけど、これには驚きました。そしてそのまま、その人に恋に落ちてしまって、そこから長い長い物語が始まるわけですが…まぁその辺は割愛ということで。おじさんにも、そういう思い出があったわけです笑。

 

 

Day5 大音量で聴きたくなる曲
【放浪カモメはどこまでも】

放浪カモメはどこまでも

放浪カモメはどこまでも

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大音量で聴きたい、スピッツのロックってのは、ほんとにたくさんあると思います。その中でも、一番”大音量で聴きたい”に合っている曲を考えた結果、【放浪カモメはどこまでも】を選びました。マイアミショックによって、再びロックバンドとして再始動をしたスピッツが、その鬱憤を晴らすように発表したのが、この曲でした。個人的には、大学の時なんかは、酔っぱらってグダグダな状態の時に、もう音程なんてろくに取れないくせに、暴れ回って歌ってましたね。

 

youtu.be

 

 

Day6 踊りたくなる曲
【エンドロールには早すぎる】

エンドロールには早すぎる

エンドロールには早すぎる

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アルバム『小さな生き物』の撮り下ろしライヴDVDにて、【エンドロールは早すぎる】のライヴ映像では、ミラーボールが回っていたので、完全にそのイメージです。

 

 

Day7 ドライブで聴きたい曲
青い車

青い車

青い車

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まぁ、小細工なしで、やっぱりスピッツの車ソングと言えば、【青い車】ですね。曲の解釈としては、正しい・正しくないは置いておくとして、スピッツの曲の中でも、共通の解釈が広まっている曲の一つとして有名だと思います。具体的に言えば、”心中自殺”という、何とも不吉な解釈なのですが…。それでも、ただ単に聴く時は、そういうのは気にせずに、ただ単に爽やかで疾走感のある曲として聴いています…先程”夏を思い出させる曲”を紹介しましたが、この【青い車】も、”君の青い車で 海へ行こう”という歌詞が、夏を思わせるかもしれません。

 

youtu.be

 

 

Day8 ドラッグかお酒について書かれている曲
【不死身のビーナス】

不死身のビーナス

不死身のビーナス

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ドラッグ…と言えば、何か響きは良くないですが、お酒を思い浮かべると、”ビール”という言葉が出てくる曲が、スピッツでは2曲あるんです。そのうちの1曲である、【不死身のビーナス】を選びました。もう1曲は…分かりますか?この曲の記憶もかなり古いもので、僕が中学生の頃にはもう聴いてました。”最低の君を忘れない”という言葉が、子ども心に印象に残っていていました。当時は、あんまり意味は分からなかったですけど、今は少し分かる…のかなぁ。

 

 

Day9 幸せな気分になる曲
【夕陽が笑う、君も笑う】

夕陽が笑う、君も笑う

夕陽が笑う、君も笑う

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スピッツの曲には、一見すると幸せそうに見えて、どこか寂しかったり、何か怪しかったりして、「し、信じていいのか?」ってなる曲があったりすると思うんです。その点、【夕陽が笑う、君も笑う】という曲は、何か手放しで信じてもいいんじゃないか、と思えるような、多幸感を感じる曲だと思います。

 

 

Day10 悲しい気分になる曲
【コスモス】

コスモス

コスモス

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草野さんの書く詩のテーマとしては、古くから”セックスと死”というものがあります。そのテーマの一端である”死”については、それを匂わすような歌というものはたくさんあるのですが、この【コスモス】という歌に関しては…これは、スピッツの歌においては珍しいことなのかもしれませんが…明確に”君が生きてたなら”という歌詞が出てくるので、疑いようもない”死”があるのです。ちなみに、この歌はジャン・ポール・ベルモントという俳優が出た映画にインスパイヤされて作った歌であるそうですね。

 

 

Day11 決して飽きることのない曲

スピッツならば、全曲です。

 

 

Day12 プレティーン(9~12歳)の頃の曲
【チェリー】

チェリー

チェリー

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 もう何度も話したエピソードなのですが、まさしく、僕がスピッツに出会ったきっかけの曲が、【チェリー】なのです。僕が小学生の時、帰りの会で”クラスの歌”を歌うというコーナーがあったんです。そこで歌う歌は、僕たちが自由に決めて良かったので、当時の流行の歌が並んだんですけど、ある時期の帰りの歌の1曲に、スピッツの【チェリー】が選ばれて、みんなで歌ってたんです。子ども心に、良い曲だなって思ったことを覚えています。歌詞は少し難しく、理解できない部分もあったんですけど、断片的に理解できるところを何となく繋ぎ合わせて、”卒業”や”恋愛”などの歌として聴いていました。

 

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Day13 70年代の好きな曲(番外編)
【Daydream Believer / The Monkees

Daydream Believer

Daydream Believer

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調べてみると、この曲は1967年に発表された曲だそうですね。まぁ、きっと70年代でも愛されていたと思いますし、”ほぼ70年代”の名曲ということにしておきましょう。これ、子どもの頃からずっと思っていたんですけど、男性が歌っているとは思えませんよね。明るい曲調や、MVの陽気な雰囲気に反して、何か切なくなるのは何ででしょう。

 

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Day14 結婚式で流したい曲
【運命の人】

運命の人

運命の人

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…まぁ、機会があれば。入場で流したいよね。

 

youtu.be

 

 

Day15 好きなカバー曲
【田舎の生活 / LOST IN TIME

田舎の生活

田舎の生活

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※音源は、原曲バージョンです。 

 

基本的に、スピッツは唯一無二のバンドであるし、僕がスピッツを長く聴いてきたから、なおさらカバー曲には違和感を感じざるを得ないのですが、LOST IN TIMEの【田舎の生活】に関しては、原曲よりもカバー曲の方が好きになってしまった、例外中の例外の曲です。

 

原曲【田舎の生活】は、そんなアルバムの中でもさらに異質な曲であり、ほとんどバンドサウンドは聴こえてこず、アコギやマリンバやグロッケンの音が表立って聴こえてきます。

 

一方で、LOST IN TIMEカバーの【田舎の生活】は、原曲とは違って、アディショナルサウンドを排除して、ロックサウンドを前面に押し出したカバーになっています。それがね、またかっこよくて、どこか切ないんですよね。原曲からは、”死”の雰囲気が漂っていて、ただただ悲しい感じがするのですが、ロストカバーについては、何ていうか上京物語みたいな感じで、前向きな別れに聴こえてくるのです。

242時限目:ヤマブキ

【ヤマブキ】

ヤマブキ

ヤマブキ

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■アルバム『見っけ』の12曲目に収録されている曲です。

 

アルバム『見っけ』の初回限定盤などには、13曲目に【ブランケット】という曲が収録されていますが、あくまでBONUS TRACKという位置づけなので、この【ヤマブキ】が、実質アルバムのトリを飾る曲になっています。

 

この曲は、アルバム発売前のライヴで、すでに演奏されていた曲だったらしいですね。調べてみると、2018年に行われた、ファンクラブ会員限定のライヴイベント「GO!GO!SCANDINAVIA VOL.7」において披露したという記録が残っていました。

 

同ライヴでは、これもまた発表前だった【悪役】も披露されています。ちなみに【悪役】は、シングル『優しいあの子』のカップリングに収録されていますが、アルバムには収録されていません。超名曲なんですけど、残念です!

 


■アルバム『見っけ』のプロデューサーは亀田誠治さんなのですが、【ヤマブキ】に関しては、スピッツのセルフプロデュースになっています。アルバムのクレジットによると、プロデュースはスピッツ、編曲はスピッツとクジヒロコになっています。この曲のキーボードも、クージーが演奏しています。

 

セルフプロデュースについては、音楽雑誌「MUSICA」でもメンバーがたくさん語っていますが、少し紹介してみます。

 


三輪さん「今回のアルバムの中では、この曲だけセルフ(プロデュース)なんだけど、メンバー全員サウンドに関しても凄く満足が行ってて。この感覚を次のレコーディングで忘れないようにしたいなっていう曲でもある。だからこの曲が最後に来るのは意味があるなって思います」

 


田村さん「何を基準にジャッジしていいかわからなくなるから、それで困ってどんよりしちゃうというか。各々の基準ってわかってるようでわかってないから。できないことを求めてもしょうがないじゃん」

 


崎山さん「だから演奏しても、終わった後みんな黙ってるみたいな感じで。結構いい出来だなと思っても、その一言すら言い出せない(笑)」

 

ちなみに、セルフプロデュースではジャッジができないという話に関しては、古くは1枚目のアルバム『スピッツ』の頃からあったようです。

 

書籍「旅の途中」では、プロデューサーを含めて、曲に対してのジャッジの基準を持っておらず、テイク数だけが重なっていったため、エンジニアが怒ってしまった、というエピソードが書かれていました。

 

時が経った今でも、「4人だけでやるとレコーディングの雰囲気が暗くなる」という風に語られています。そこに、亀田さんが良い盛り上げ役として入ることで、スピッツメンバーも気持ちが乗るようですね。これも、スピッツらしさといえばらしさなんですかね笑。

 


■では、この曲について考えてみます。

 

曲調は、明るさが突き抜けている感じの曲です。特に、サビの高音で突き抜ける感じは、とても清々しい気持ちになります。

 

初めて通してアルバムを聴いた時、この分かりやすく明るい曲調がすぐに好きになりました。個人的にですが、サビは、オールディーズの名曲で【恋のダウンタウン】という曲(オリジナルの歌手は、ぺトゥラ・クラーク…という人だというのを今回初めて知りました)を思い出しました。

 

最近のスピッツのアルバムのトリを飾る曲は…例えば、前作『醒めない』だと【こんにちは】、前々作『小さな生き物』だと【僕はきっと旅に出る】など、ひとつ明るさが飛び抜けている曲が定番になっているような気がします。

 


あと、曲調についてもう一つ思うことは、何となく1曲目の【見っけ】と曲調…というより、曲の感じが似ているような気がしています。

 

突き抜けた明るさを【見っけ】でも感じましたし、何ていうかキラキラしている感じ…おそらくプログラミングやキーボードのサウンドがそう感じさせているのだと思いますが、そういう部分の雰囲気が両曲で似ていると感じました。ここら辺がおそらく、スピッツの最新のロックミュージックの形なのかなと思っています。

 


■歌詞を読んでいってみます。

 


似たような身なり 似たような能力
群れの中から 抜け出したのさ
監視カメラよけながら
夜の泥に染まって走れば 遠くに見えてきた

 

まず、これが出だしの歌詞になりますが、1行目の”似たような…”という言葉については、真っ先に【1987→】という曲を思い出しました。同じ言葉が用いられて、下記のように歌われていました。

 


らしくない自分になりたい 不思議な歌を作りたい
似たような犬が狼ぶって 鳴らし始めた音

 

精神的には、同じようなことを歌っていると思っています。要するに、”似たような”ものに成り下がって、埋もれたくない、埋もれてたまるものか!という精神を表しており、ひいては、それはスピッツや草野さんの思想に通じるものがあるのだと思っています。

 

2行目の”群れの中から 抜け出したのさ”という表現についても、同アルバムの【はぐれ狼】や【まがった僕のしっぽ】にも通じる部分があるとも思っています。つまり、【まがった僕のしっぽ】がそうであったように、【ヤマブキ】という曲もまた、【はぐれ狼】からはじまる、いわゆる”はぐれ狼クロニクル”の一部であるような気がしています。

 


あと、印象的な”監視カメラ”という表現については、草野さんがインタビューの中でも少し語っていますが、この曲に込められた想いというのは、”同調圧力に対するアンチテーゼ”であり、ともすれば”監視カメラ”は、同調圧力を象徴しているようなものとして使われているのでしょう。

 

みんな同じように行動しているか、他人と違うことをしていないか、それを見張る存在の象徴としての”監視カメラ”を…これまた草野さんらしい表現だと思うんですけど、それに対抗する手段として、”よけながら”という表現になっているんですよね。もう少し過激に、”壊しながら”とか”撃ち落しながら”とかいう表現もできるはずだろうけど、そこを”よけながら”としているところが、草野さんらしくて僕は好きなんですよね。

 



田植えの季節過ぎれば
雨がいろいろ消してくれそうで へへへと笑ってみた

 

ここの”田植えの季節”という言葉については、草野さんが雑誌で少し語っていますが、「なるべく他の人が使わない言葉を使いたい」という気持ちの上で、

 


草野さん「名古屋とか大阪に移動する時に田園を通るんですよ」

 

草野さん「…だから、『あ、田植えが始まった!』とか、『稲刈りもうすぐかな』とか、そういう稲作の1年を普段から感じやすいので。なので、自分としてみれば突拍子もないところから持ってきた言葉ではなくて、案外日常だったりするんですよね」

 

という風に語っています。まぁ、【ヤマブキ】という言葉自体も、本来はロックとはかけ離れた言葉であるんだろうけど、草野さんという人は、自然や景色の移り変わりだったり、生き物だったり、そういうものを貴く思う気持ちを持っておられるので、草野さんにとってはこれも日常的な言葉だったんでしょうね。

 

2行目の、”へへへと笑ってみた”という表現も…意味はよく分からないけど、好きです…へへへ。

 


■あとは、タイトルにもなっている”ヤマブキ”という言葉については、

 


あれはヤマブキ 届かない崖の上の方で
ハングリー剥がされても よじ登っていけ

 

サビの歌詞ですが、タイトルにもなっている”ヤマブキ”という言葉が出てきています。

 

”ヤマブキ”という言葉を聞いて個人的に思い浮かんだのは、色の名前と植物の名前でした。色については、そのものずばり”山吹色”というのがありますが、この曲では、後者の植物の名前として使われているのだと思います。

 

この”ヤマブキ”という言葉や曲に込められた意味として、先述で少し触れましたが、雑誌で草野さんが語っているような部分があります。

 


草野さん「…昔よりもさらに同調圧力というか、浮かないように注意して生きていかなきゃいけないような世の中になってきてるような気がしてて。それに対するアンチテーゼみたいなものは昔よりさらに曲に込めたいなと思っちゃうんですよね。」

 

雑誌の中で、「ヤマブキって、実は結構群れて咲くんですけどね」とも語られていますが(ちなみに、もともとは”ヤマユリ”という言葉だったとも語られていました)、歌詞の中では”届かない崖の上の方で”という言葉とセットで歌われています。

 

雑誌で語っている通り、”ヤマブキ”という植物が群れて咲く植物ならば、”崖の上”という場所は、その群れから離れて咲いていることの象徴であり、この辺りの表現も、この記事でずっと語っている通り、同調圧力への対抗や、はぐれ者精神の表れであると考えることができます。

 

あるいは、”届かない”や”ハングリー”という言葉からは、スピッツはその高みへと登って行くんだという、まだまだロックミュージックを追究していくという想いも表していると感じます。

 

何かこういう、まだまだ目指す場所があるんだ!と歌われている歌で、アルバムを締めくくっているところが良いですよね。

 


ちなみに、”山吹(ヤマブキ)”の花言葉は、「気品」「崇高」「金運」など。

 

この曲に似合う花言葉としては、「崇高」でしょうか。「金運」という花言葉については、谷底に落とした金貨がヤマブキの花になったという言い伝えにちなんでいるようです。