スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第3回

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それは恋のはじまり そして闇の終り
花屋のぞいたりして
それは恋のはじまり おかしな生きもの
明日は晴れるだろう

 

 

■アルバム『スーベニア』に収録されている、【恋のはじまり】という曲のサビの歌詞です。

 

まず、タイトルが潔くて良いんですよね。このタイトル通り、"恋のはじまり"について歌っている歌だと読むことができます。

 

草野さんは、もちろん"恋愛"について詩を書くことがあります。ただしそれは、一筋縄ではいかないものだったり、叶わなかったり、不純なものだったり、性愛に繋がるものだったりと、色んな意味で多岐にわたっています。

 

ただ、そういう場合の相手への気持ちを表す描写として、独特だけど何か分かるなぁっていう例えだったり、格言じみた表現を使ったりして、草野節で面白いなぁと思うんです。この企画の中でも、それを少しでも紹介できたら、と思っています。

 

今回は…そもそも、曲名から珍しく具体的で出オチ的なのですが…"恋のはじまり"においての心情の変化を例えた、面白い表現を紹介します。

 


■まず、後半部分の歌詞。

 


それは恋のはじまり おかしな生きもの
明日は晴れるだろう

 

ここの"おかしな生きもの"という表現、言い得て妙だなって思うんです。

 

基本的に恋愛って、人をおかしくさせるものだと思うんですよね。いつもは絶対にしないだろうっていう言動をしたりだとか、想っている人を目で追ったり、頭で考えたりして何も手につかなかったりと、普段とは違う自分になるものだと。時には、本当に変な行動に走ったりして(違法行為はダメ!絶対!)、それを草野さんは短く、"おかしな生きもの"(になる)と表現しています。

 


で、そういう"おかしな生きもの"になってしまった人のおかしな行動として、前半部分で一つ歌われています。

 


それは恋のはじまり そして闇の終り
花屋のぞいたりして

 

ここの"花屋のぞいたりして"という表現。個人的に、ここの表現がほんとに好きなんですよ。本当に、秀逸なだって思いながらいつも聴いています。

 

いつもは、花屋をのぞくことはおろか、絶対に花すら愛でないだろうって。高校生や大学生の若い人だったら可愛らしいけど、社会人になってたり、ちょっと歳がいったおじさんとかね、普段絶対に花屋なんて行かないだろうって人が花屋に行って、物思いに耽っている様子を想像したら、なんか可笑しくなってしまいます…でも、何だかほっこりするんですよね。

 

好きになった人が花が好きなのか、花をプレゼントするためなのか、それとも、何となく心が穏やかになってふらっと花屋に立ち寄ったのか…具体的に書いていないからこそ、物語を自由に想像ができる、その余白を用意してくれているのは、本当に草野さんの歌詞の特徴だなって思うんですよね。

 


■こんな風に、直接的にではなく、間接的な表現を用いて、恋に落ちたことを描写することは、草野さんが書く歌詞ではたくさんあります。

 

そもそも、草野さんは直接的な表現をあまり好まないところもあるので、本当の思いや伝えたいことが言い換えられている部分が多くあるので、そういう部分を意識して読んでいくと、歌詞を読むのがさらに楽しくなると思います。

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第2回

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君のベロの上に寝そべって
世界で最後のテレビを見てた
いつもの調子だ わかってるよ
パンは嫌いだった

 

 

スピッツのメジャーデビューアルバム『スピッツ』に収録されている【テレビ】という曲のはじまりの歌詞です。

 

前回の記事でも触れましたが、草野さんの書く詩のテーマとしては、"セックスと死"というものが知られています。

 

特に、このテーマが色濃く反映されているのは、初期の頃の楽曲であると思っています。というより、初期の頃の楽曲は、ほとんど"性"か"死"かどちらかに分類できるのではないか、とさえ思うのです。

 

そういうことを踏まえて、【テレビ】という曲です。デビューアルバムに入っている曲なので、紛れもなく初期の楽曲ですが、まさにマニアック、奇曲中の奇曲です。"テレビ"なんていう、誰もが知る言葉をタイトルにしながら、どういうことを歌っているのか、さっぱり分かりません。

 

冒頭で紹介したのは、1番のAメロの始まりの部分の歌詞ですが、皆さんだったらどういう風に読みますか?ここで紹介しているのは、【テレビ】の歌詞のほんの一部に過ぎませんが、全体的に読んでみると、さらに変テコな、草野さんの世界観を感じることができます。

 


■ここスピッツ大学がまだなかった頃の話ですが、およそ10年前くらいだと記憶しています。

 

スピッツ大学がなかっただけで、特に僕の思いは変わってなくて、僕は子どもの頃からずっと、スピッツの楽曲を歌詞を重視して聴いていて、この歌はどんなことを歌っているんだろうと、考察したり想像したりするのが好きでした。

 

その頃は、スピッツの歌詞を考察しているサイトなどに足を運んで、色んな人の色んな考察を読んだり、自分でも掲示板に書き込んだりしていた時期がありました。

 

例えば、m○xiや●chなどには、スピッツの歌詞を考察するスレッドみたいなのがありましたし、一個人が作った、野生のブログやサイトなどを探せば、さらにたくさんの考察に出会うことができました。

 

で、あれは確か、m○xiのスピッツの歌詞考察系のスレッドを見ていた時だったと記憶していますが、そこにどなたかが書いた【テレビ】の考察が書かれていたのです。そのまんまの文章はもう覚えていないのですが、このように書かれていました。

 

「テレビというのは、棺桶の窓のことで、その棺桶の窓から、亡くなった人の顔を見ている描写」

 

もちろん、本当のところはどうなのか不明ですが、自分でもそういう解釈を元に、改めて【テレビ】の歌詞を読んでみると、結構腑に落ちるところがあって、そういう考察へ進めてみました。記事に書いている考察は、実はそういう経緯があってできた考察なんです。

 


■あくまで、個人的な解釈ですが、少しだけ紹介してみると、

 

テレビ…棺桶の窓
世界で最後…亡くなった人が映っているから最後
パンは嫌い…仏壇に供えられたご飯

 

今回は紹介していませんが、他の部分の歌詞について、少し触れてみると

 

錆びたアンテナ…線香
不思議な名前…戒名(死んだ人につける名前)
君が描いた油絵もどき…遺影
ブリキのバケツに水…墓参り
マントの怪人叫ぶ夜…お経を読むお坊さん

 

などなど。かなり都合の良いように解釈している部分もありますが、繋げて考えてみると、【テレビ】は”葬式”や”墓参り”について歌っている歌だと考えることができました。まぁ、もちろん、全然違う可能性は大いにありますが。

 


■さらに、個人的には、この歌の主人公には、まだ幼い子どもの姿を当てはめています。棺桶の窓を"テレビ"と呑気に言っているのも、マントの怪人叫ぶ夜に(お経に)耳を塞いで怖がっているのも、どこか子どもの姿が浮かんできます。

 

まだ、"死"というものが何なのかよく分かっていない子どもは、無邪気に尋ねるかもしれません…「ねぇねぇ、おじいちゃんは何で箱の中で寝てるの?いつ起きるの?」と。

 

さらに言うと、草野さんは子どもの頃に、立て続けにおじいさんを2人亡くされた経験があるようで、ともすると、この子どもの姿には、草野さん自身もタブって見えてきます。

 


■ということで、【テレビ】の歌詞を紹介しました。何度も言いますが、あくまで個人的な考察です。

 

ただ、スピッツの歌詞はもっと色んな考察ができるのではないか、と考えるきっかけになったので、自分にとっては大切な歌詞のひとつとして紹介しておきます。

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第1回

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片隅に捨てられて 呼吸をやめない猫も
どこか似ている 抱き上げて 無理やりに頬よせるよ
いつもの交差点で 見上げた丸い窓は
うす汚れてる ぎりぎりの 三日月も僕を見てた

 

 

■トップバッターは、スピッツの全楽曲の中でも一番知られているであろう曲、【ロビンソン】の歌詞です。

 

草野正宗さんの書く詩について、スピッツ大学でも度々取り上げていることですが、草野さんは、”とがっているもの”を”性の象徴”として、また”丸いもの”を”死の象徴”として、歌詞の中で使っているのではないか、という考察があります。

 

僕は、この話を大学時代に友人から聞いたんですけど、その友人にしたって、何かの本に書いてあったと言っていました。確か、スピッツには関係ない、第三者が書いた本だったような気がしますが、よく覚えていません。(詳細を知っている方が居られましたら、コメントなどで教えていただけたら幸いです)

 

とにかく、”とがっているもの”は”性の象徴”、”丸いもの”は”死の象徴”、という考察は、草野さんがそう語ったわけではなく、ましてや自分が初めて発見したわけでもないのですが、大学時代に友人から聞いた後、改めて草野さんの歌詞を読んでみて、僕も割と腑に落ちるところもあったので、1つのポイントとして注目してきました。

 


■上述のようなことを踏まえて、【ロビンソン】の歌詞について考えてみます。

 

【ロビンソン】は、スピッツでは一番有名な歌だとか言いながら、歌詞の意味がはっきりとは分かりません。そもそも、タイトルの”ロビンソン”も謎ですからね笑


紹介している歌詞は、2番のAメロに出てくるのですが、まず冒頭、

 


片隅に捨てられて 呼吸をやめない猫も
どこか似ている 抱き上げて 無理やりに頬よせるよ

 

主人公に何があったのか、自分を”片隅に捨てられてそれでも必死に生きようとしている猫”に重ね合わせている描写です。

 

素直に考えると、これは1番の流れから考えると、主人公には恋人らしき人が居るのが読み取れるのですが、例えば、主人公もその恋人から捨てられて独りぼっちになってしまった身である、と考えることができます。だから、同じように、捨てられて一匹で必死で生きている猫の姿に、自分を重ねているんですかね。

 


そして、そこから、

 


いつもの交差点で 見上げた丸い窓は
うす汚れてる ぎりぎりの 三日月も僕を見てた

 

と続いていきます。ここで、先述のことを踏まえたいのですが、ここの歌詞は結構珍しいんです。

 

具体的には、”丸い窓”=丸いものなので”死”の象徴、そして”三日月”=とがったものなので”性”の象徴という風に、”死”と”性”の両方の概念が出てきていると解釈できます。さらに、”性”というのは、人間が生きていく上での根元的なものになるので、ここでは”生”と置き換えてみます。するとここの表現は、主人公が”死”と”生”の間で揺れ動いている描写とも捉えることができます。

 

で、そもそもここの歌詞って、皆さん日本語的にどう読んでますか?ちょっと違和感があると感じるのは僕だけでしょうか。個人的には、「うす汚れている丸い窓に、ぎりぎりの位置に三日月が映っている」と読みましたが、どうなんでしょうか。

 

僕の読み方でいくと、”丸い窓”に”三日月”がぎりぎり映っている…三日月は”生”の象徴で、それがぎりぎり映っている、と。これはつまり、”生”が消えかかっている、そして、それがやがて消えていくことを表していて、後に残るのは丸い窓だけ、つまり”死”だと…そういう風に考えることができます。

 

つまり、主人公の”生”に対する気持ちが消えていっており、”死”に向かっていると、そういう風に捉えることができます。

 


■ちなみに、【ロビンソン】の考察としては、不穏ですが、「恋人を追って後追い自殺をする」だとか、「恋人と心中する」などが知られているのですが、その真偽は分かりません。

 

ただ、草野さんが書く詩のテーマとしては、”セックスと死”というものが知られているのですが、先述のような考察に立てばの話ですが、この【ロビンソン】からは”性(生)”も”死”も両方感じることができるので、草野さんの死生観が色濃く表現されている詩として、最初に紹介させていただきました。

事前講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~(企画説明)

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■おはこんばんちは、スピッツ大学学長のitukamitanijiでございます。最近、寒くなってきましたね。皆さんお体の調子はいかがでしょうか?今年も、残すところあと1か月、ラストスパートですね。最後まで、皆さんが無事に過ごせるように願っています。

 

 

■では、さっそく本題に入ります。

 

1991年3月25日。スピッツは、シングル『ヒバリのこころ』とアルバム『スピッツ』を同時リリースし、メジャーデビューを果たしました。

 

ちなみに、スピッツの結成日は、1987年7月17日というのが知られているので、結成してからメジャーデビューまで、およそ3年半の歳月を要したことになるわけですね。

 

そして、2021年3月25日。スピッツは、ついにメジャーデビュー30周年を迎えました!本当にすごいことですよね。結成30周年の時も同じことを思いましたが、何か1つのことを30年ずっと続けてきたということに、職業や年齢など関係なく、本当に尊敬の念を抱いています。

 

僕自身は小学生の頃、リアルタイムで【チェリー】を聴いてスピッツを知ったので、およそ25年くらいスピッツを聴いていることになるわけですが、それでもメジャーデビューや、ひいては結成となると、それらは僕がスピッツと出会うよりももっと昔のことだったのだと、改めて歴史の長さを実感します。

 

そして、自分勝手に”スピッツ大学”なるブログを書き始めるわけですが、現在はもうほとんど更新していません。

 


■しかし、自分としても、スピッツメジャーデビュー30周年を記念して、せっかくだから、スピッツ大学でも何かやりたいと考えました。

 

ということで、こんな企画を用意しました。題して、

 

スピッツ大学
スピッツメジャーデビュー30周年記念企画
集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~

 

を始めたいと思います!

 


◼️内容としては、これまで草野さんが書いてきた、スピッツ楽曲の歌詞の中で、個人的に好きな歌詞、思い入れのある歌詞、紹介すべき重要な歌詞、などの観点から、30周年にちなんで30編選び、思い出や考察などとともに、紹介するというものです。

 

なお、紹介する順番については…特に決まりはありません。自分が紹介したい順番に並べているだけなので、次は何が来る!?的に楽しんでいただけたら幸いです。

 

目標としては、30日連続で記事を載せていきます。予約投稿なるものを駆使して、毎日19時にアップしていきます。途中で途切れてしまったら、申し訳ありません、全て予定です。

 

各曲の記事はすでにあるので、その記事で書いている内容を、また同じように書いているということが大いにあると思いますが、あらかじめご了承ください。今までの記事の内容を、より部分的な歌詞にフィーチャーして、ちょっと深堀りして書いている、いわば”各曲の2週目の記事”という程度で見ていただけたら幸いです。

 

 

というわけで、本日から早速、第1回を始めたいと思います。記念すべき第1回は、スピッツのシングル曲の中で、一番売れたあの曲からスタートです!

248時限目:大好物

大好物

 

大好物

大好物

  • provided courtesy of iTunes

 

【大好物】

 

■2021年11月3日に配信リリースされた、45作目のシングル曲です。

 

同日に公開された、劇場版「きのう何食べた?」の主題歌になっている曲です。スピッツが、映画の主題歌を担当するのは、2017年に公開された映画「先生!、、、好きになってもいいですか?」の主題歌【歌ウサギ】以来、およそ4年ぶりです。

 

劇場版「きのう何食べた?」の主演を務めているのは、西島秀俊さんと内野聖陽さんなのですが、西島さんと言えば、スピッツファンを公言しており、何かとスピッツに縁のある方です。

 

例えば、2011年に放送された、西島さん主演のテレビドラマ「僕とスターの99日」では、スピッツでは珍しく、原田真二さんのシングル曲【タイム・トラベル】のカヴァー曲が主題歌に選ばれました。僕はこのドラマを、最初こそ主題歌を聴く目的で見ていましたが、ドラマの内容が面白くて、最後まで全話見ました。

 

それから、2006年に公開になった、西島さんと宮崎あおいさん主演の映画「海でのはなし。」では、これは主題歌というより、映画自体がスピッツの楽曲にインスパイアされて作られたものだそうで、挿入歌でスピッツの曲がたくさん使われています。昔、僕も映画見たんですけどね、全然ストーリーを覚えていません。ちなみに、宮崎あおいさんの映画での役名が”楓”という名前です。

 


■そして、今回の「きのう何食べた?」で、また西島さん×スピッツが実現したわけですね。「きのう何食べた?」の主題歌にスピッツが選ばれたことに対して、西島さんがコメントをしています。

kinounanitabeta-movie.jp

 


この映画の主題歌をスピッツさんが担当すると聞いて驚きと嬉しさで飛び上がりました。
スピッツさんの楽曲はいつも作品の世界観に優しく寄り添い、観る者の想像力を大きく膨らませてくれます。本当に素晴らしい曲です。
この曲を聴いて皆さんあたたかい気持ちで映画館を出られると思います。
そしてこの曲を聴く度に、映画「きのう何食べた?」の様々なシーンを思い出して頂けたら幸いです。

 

”驚きと嬉しさで飛び上がりました”という表現で、嬉しさを爆発させているのがよく分かりますね。

 


また、草野さんも映画に対してコメントを寄せています。

 


様々な人生の歩み方、新しい家族のあり方、色んな愛の形など、多くの事を問いかけてくれる実は真面目な物語なんですけど、まずとにかく面白いです!アハハと笑わされた後、え?ここで?という場面にふと目頭が熱くなってたりします。なので今回、曲の依頼をいただいたら盛り上がっちゃって、ツルツルっと出来上がったのがこの「大好物」です。なんだか縁を感じています。レシピをメモりたくなる美味しそうなシロさんの手料理を堪能した後、シメのデザートにスピッツの曲も楽しんでいただけたら幸いです。

 

ちなみに、「きのう何食べた?」のストーリーなんですが、僕は見たことがないので調べたものを紹介してみると、どうやら男性同士のカップル(ゲイのカップル)の物語のようですね。その男性同士のカップルを、西島さん(シロさんという役)と内野さん(ケンジという役)が演じているようです。

 

予告篇などを見た時に、えらく食事のシーンが多いなと思ったのですが、これは二人の生活が、食生活を中心に描かれているからだそうですね。だから、草野さんもそういう物語に触れてコメントしているのですね。後述しますが、【大好物】の歌詞の中にも、そういう”食”に関係しているようなフレーズがたくさん出てきます。

 

 

 

■ということで、【大好物】という曲を聴いた感想や、解釈などを語っていきます。

 

総じて思ったことを述べると…まぁ、これはいつもスピッツの曲を聴いていて思うことなんですが、”かわいい”と”かっこいい”を、こんなにも同時に表現できるのは、つくづくスピッツだな、スピッツしかいないよなってことでした。しかも、スピッツはもう年季の入った、いわばおじさんたちのバンドですよ、なのに何て軽快な曲を作るんだ!って思うんですよね。

 

アルバム『見っけ』や、その収録曲を解説したときにも紹介したんですけど、【見っけ】や【ヤマブキ】みたいなキラキラした感じの曲だったり、【ラジオデイズ】や【快速】なんかもラジオの音源が挿入されていたり、エフェクティブな加工がされていたりして、スピッツはまた新しい扉を開けたな、と思ったのです

 

そういうところから、スピッツはアルバム『見っけ』辺りから、個人的なくくりとして、新しい時代…第5期にでも入ったのではないか、とさえ思っています。

 

衝動的にロックなスピッツに目覚めて、少しずつそれを研磨していった第3期(『ハヤブサ』~『さざなみCD』)、そこから時間が経つごとに、僕自身がスピッツを長く聴いているせいか、どこか懐かしさも感じるようになってきましたが、さらに東日本大震災を起因として、歌うことや音楽をやること自体にも思いを馳せつつ、”死と再生”の物語を紡いでいった第4期(『とげまる』~『醒めない』)。

 

そして第5期、特にアルバム『見っけ』では、色んなものから解放されて、また”死と再生”の先に進んで、新しい”見っけ”の物語へと踏み出した、と。今までのスピッツロックに、何かをプラスアルファしたような曲、より自由な雰囲気の曲が増えてきました。

 

そういう音楽性の変化っていうのは、考えようによっては、そのバンドが変わってしまったとか、前の方が良かったとか思ってしまう要因にもなるかと思うんですけど、そこはさすがスピッツ、何をやってもしっくりくるんです。新しいことをやっても、やっぱりスピッツスピッツなんですよね。

 


■という風に考えてくと、この【大好物】にも、新しいと思うところがたくさんありました。まさに、スピッツの最新の曲!って感じです。

 


まず、イントロから耳に残るのはシンセサイザーの音ですね。何ていうか、近未来的で最新のテクノポップのようにも聴こえるし、80s90sのシンセポップみたいに古い感じにも聴こえるし、そういう新しい/古いを同時に感じるような、不思議な感じです。

 

こういうシンセサイザーの音が前面に聴こえてくる曲って、スピッツには珍しい気がするんですけど、何かありましたっけ?でも、そこはさすがスピッツスピッツロックとシンセのポップな感じがうまく混ざっていて、新しいのにスピッツっぽいと思わせてくれます。

 


それから、Aメロでは草野さんのボーカルに、いわゆる”こぶし”が使われています。”こぶし”(漢字では”小節”と書く)は…もともとは演歌のテクニックなんですかね、説明としては、ボーカルの音を瞬間的に上下する(揺らす)というテクニックでしょうか。ビブラートは、割と長いこと周期的に声を揺らしているイメージですが、こぶしは、瞬間的にある部分で強調して行います。

 

具体的には【大好物】では、例えば1番のAメロだと、”冬の終わり”の”ゆ”の音や、”はじめて知った”の”じ”の音が揺れていますね。今までのスピッツの曲には、あったの?なかったの?って感じですけど、こぶし自体をスピッツの楽曲で意識したことがないので、少なくともこんなに強調して使われているのは初めてなんだと思います。

 


あと、Aメロで個人的に好きなのは、特に1番のAメロなんですけど、先程のこぶしが入る”冬の終わり”の後の、”テレレレ ダダダ”がめっちゃ好きなんすよ…伝わってますかね笑。要所要所にこういう感じの部分がある気がします、サビ前にも”ダッダダー ンジャジャジャ”も良いですよね…何て言うんだろう、音楽用語などがあるんでしょうか。

 

Cメロの”やわらかく”も良いですよね。ドラムのリズムと、ハモリのボーカル(このハモリは草野さん自身に聴こえますが、さて?)が面白いです。

 

 

 

■そして、歌詞についてなんですけど、今回は深く考えずにすんなりと読むことができました。多幸感が溢れているというか、読んでいて気持ちが良くなるというか、そういう前向きな気分になる歌詞だと思います。

 

先述の通り、「きのう何食べた?」という作品自体が、男性同士のカップルの生活を”食生活”に焦点を当てて描いているという物語なので、そういう”食”に関する表現から、カップルの日常や相手への気持ちの変化を描いていると思われる部分が、たくさん出てきます。

 


例えば、

 


つまようじでつつくだけで 壊れちゃいそうな部屋から
連れ出してくれたのは 冬の終わり

 

冒頭から、”つまようじ”という言葉が使われていて面白いですね。些細で弱々しいものの例えとして、”つまようじ”という言葉が使われているんですかね。そういう繊細で傷つきやすい生活から、相手が連れ出してくれた、と歌っています。

 



ワケもなく頑固すぎた ダルマにくすぐり入れて
笑顔の甘い味を はじめて知った

 

”甘い味”という表現…お菓子やケーキなど、”甘い”ものを食べるというのは、”幸せ”の象徴ですよね、ここでもそういう意味合いで使われているのだと思います。

 

余談ですが、仕事で疲れた時とかに、職場の人がチョコくれたりするんですけど、瞬間的にめっちゃ疲れが回復するんですよね。そんな、いつももらってばかりの自分です。いつも、今度は自分がお返ししないと…と思ってるんですが。

 



吸って吐いてやっとみえるでしょ
生からこんがりとグラデーション
日によって違う味にも 未来があった

 

ここは、”でしょ”と”グラデーション”の韻の踏み方も面白いんですね。”日によって違う味にも 未来があった”という表現で、これもカップルの幸せな食卓の風景が思い浮かびました。

 


■あとは、タイトルにもなっている”大好物”という言葉ですが…正確には出てきませんが、サビに”大好きな物”という表現で出てきます。

 


君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き
期待外れなのにいとおしく
忘れられた絵の上で 新しいキャラたちと踊ろう
続いてく 色を変えながら

 


君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き
そんなこと言う自分に 笑えてくる
取り戻したリズムで 新しいキャラたちと踊ろう
続いてく 色を変えながら

 

相手を愛しいと感じる気持ちを、”君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き”という言葉で表現しているのは、まさに草野節ですね。

 

好きな人と長く過ごしたりすると、その相手が好きな物が、自然と自分の好きな物に変わっていくと。その相手と結ばれなくても、気になる人の好きなものを、自分も好きになっていく(好きになろうとする)感じは分かる気がします。例えば、音楽の趣味とか、漫画や本の趣味とか、そういうものが、恋愛の力によって変わっていく感じですね。

 

ただ、”僕も多分明日には好き”の”多分”という表現も、さらに草野さんっぽいなって感じもすしますね。控えめというか、何となく言い切れていないというか。

 

あとは、”取り戻したリズムで 新しいキャラたちと踊ろう”というところも、色々と物語が想像できる部分だと思います。リズムを取り戻した、ということを逆に考えると、今まではリズムを崩していた、と考えることができます。

 

それこそ、過去の恋愛の失敗とかがあって…とかね。そこから新しい恋愛に進んでいって、自分の好みが変わっていくというところを、”新しいキャラ”と表現しているのかもしれません。

 


■ということで、【大好物】でした。

 

個人的には、最近ではかなり好きな曲になりました。アルバム『見っけ』とか最近の配信曲とか、最近のスピッツ曲では、ダントツで好きな曲です。

247時限目:死にもの狂いのカゲロウを見ていた

【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】

死にもの狂いのカゲロウを見ていた

死にもの狂いのカゲロウを見ていた

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■もともとは、スピッツがインディーズ時代に発表した、ミニアルバム『ヒバリのこころ』に収録されている曲であり、2021年に発売になったSpecial Album『花鳥風月+』にも収録されました。

 

ミニアルバム『ヒバリのこころ』は、1990年3月20日に発売になったミニアルバムで、スピッツのデビューが1991年であるので、結成~メジャーデビューの間でこのアルバムは発売されたことが分かります。

 


ミニアルバム『ヒバリのこころ』の収録曲は、

 

01.ヒバリのこころ
02.トゲトゲの木
03.353号線のうた
04.恋のうた
05.おっぱい
06.死にもの狂いのカゲロウを見ていた

 

という計6曲ですが、このうち、【ヒバリのこころ】【トゲトゲの木】【恋のうた】【おっぱい】の4曲は、スピッツがメジャーデビューした後に音源化され、CDで聴くことができたのですが、残りの2曲、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】は、メジャー後の音源化はなく、聴くことができませんでした。

 

それが、スピッツがメジャーデビュー30周年を迎えた今年(2021年)、デビュー30周年の記念的な作品として発表された、Special Album『花鳥風月+』に、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】が初音源化されて収録されました。

 

ということで、今回の記事では、【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】について語ってみたいと思います。

 


■まず、先述の通り、今回のアルバム『花鳥風月+』にて、【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】はメジャーデビュー後に初めて”フル”音源化されました。

 

しかし、実は2001年6月6日に発売になった、映像作品「ジャンボリー・デラックス LIVE CHRONICLE 1991-2000」にて、”DELUXE 1 -EARLY YEARS-”と称して収録されている特別映像にて、1991年の【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】のライヴ映像を見ることができます。

 

ただ、このライヴ映像は、2番のみの短めのライヴ映像となっており、ちょっと物足りない感じはします。それでも、上半身だけ見ると囚人服を着ているように見える、でっかいフォークギターをかき鳴らし歌う、若かりし頃の草野さんの歌唱姿が見られるだけでも、超貴重ですけどね。映像だけ見ると、やっぱりここから草野さんは、かなり爽やかにイメージチェンジしたんだなということが、よく分かります笑

 

ちなみに、映像作品「ジャンボリー・デラックス LIVE CHRONICLE 1991-2000」には、その他にも貴重なライヴ映像が満載で、しかもボリュームもすごいので、超おすすめです。僕はこのDVDを、3050LIVEを観に行った時に物販で見つけて購入しました。以前に、このDVDを見た感想も書いているので、良かったら読んでみてください。

 


■では、曲自体についての情報や感想を語ってみます。

 

まず、イントロは、個人的には【アパート】っぽいなって思いました。ギターのフレーズが似てるんですよね。どこか空想的な世界に入っていくような、不思議な感じのするイントロです。

 

この曲も、前回書いた【353号線のうた】と同時期の曲ですので、パンクロックからの脱却を図っている、その過渡期にあるような曲ですかね。ライヴ映像で草野さんが弾いているように、フォークギターの音が前面に聴こえます。ただ、曲調としては、【353号線のうた】の方がゆるい感じです。【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】の方が、何ていうか、緊迫して切羽詰ってる感があります。

 

あと、何と言っても印象的なのは、アウトロ。4分52秒の歌に対して、およそ2分くらいをアウトロが占めています。このアウトロがメインなの?と思ってしまうほどの力の入れっぷりです。ラッパやキーボードの音が、徐々に派手に盛り上がっていき、イントロと同様、どこか違う世界にでも連れて行かれるような、不思議なアウトロです。

 


■そして、歌詞の世界観も…【353号線のうた】と同様、かなりの謎です。さすが初期…というより、インディーズ時代の曲、独特でマニアックな詩の世界観です。

 

そもそも、ここまで普通に書いてきましたが、”死にもの狂いのカゲロウを見ていた”ってタイトル自体がもうヤバいっすからね。タイトルの長さも一番なんですかね?

 

このタイトルが出てくるフレーズとしては、最後のサビの部分です。

 


死にもの狂いのカゲロウを見ていた
時間のリボンにハサミを入れた
ひとりじゃ生きてけない

 

もう、何か危うさ満載の歌詞ですよね。合わせて、1番の歌詞には、こうあります。

 


殺されないでね ちゃんと隠れてよ
両手合わせたら涙が落ちた
ひとりじゃ生きてけない

 


で、解釈のベースとしては、”殺されないでね”、”両手合わせたら”、”死にもの狂いのカゲロウを見ていた”などの詩を繋げて、誰かが誰かの死に際に立ち会っていて、死なないように願っている、という構図が浮かんできました。

 

タイトルにもなっている”カゲロウ(蜉蝣)”ですが、虫の名前ですね。卵から成虫に成長するまでの期間は、数か月~1年(2、3年という記述もありました)ほどありますが、成虫として生きられる時間は、長くても1週間ほど…短くて数時間~1日ほどしかないという、”儚い命の象徴”としてよく引き合いに出される生き物です。

 

(ちなみに、蜉蝣、蜻蛉、陽炎…全て”カゲロウ”と読みますが、蜻蛉はトンボ、陽炎は夏の暑い日に道の上に見られるもやもやのアレですね。この歌では、上述のように”蜉蝣”という字を当てはめています)

 

だから、”死にもの狂いのカゲロウを見ていた”は、今まさに消えようとしている命の側にいる、という表現だと考えました。

 

…ただ、不穏なのは、”時間のリボンにハサミを入れた”という表現ですね。この辺りの解釈としては、大きく2つの方向に分かれたので、それぞれを紹介しておきます。

 


①まず、”(自分で自分の)時間のリボンにハサミを入れた”と読んだタイプの解釈です。大切な人の死に際に立ち会って、”ひとりじゃ生きてけない”ですからね…単純に考えたら、大切な人が死んだら一人じゃ生きてけないな=だから自分も死んで一緒にあの世に行こう、という解釈になりました。

 

”時間のリボン”という表現も独特ですよね。これは、別のところで”輪廻”という言葉も出てきますが、”輪廻”とは、生き物が生死を繰り返すこととですが、何となくひとつながりの帯がくるっと輪になっているようなイメージですよね。

 

なので、(時間の)”リボン”=”輪廻”という風に捉えると、それにハサミを入れるわけですから、”輪廻”を断ち切る、つまり、”命”を絶ってしまう解釈に繋がっていきます。

 


②この曲を最初に聴いた時に、真っ先に近いイメージを感じた曲がありました。

 

それは、【夏の魔物】という曲です。【夏の魔物】は、個人的な解釈も含めますが、赤ちゃんを中絶する・流産する、という不穏な解釈が割と広まっている曲です。

 

要は、【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】という曲も、【夏の魔物】と同様のことを歌っているのではないか?と思ったのです。

 

先程の、カゲロウ(蜉蝣)の説明を思い出してほしいのですが、要は蜉蝣は、成虫になるまでの期間が長くて、成虫になってからの人生が短い、という生き物です。これを、ちょっと無理やりですが、赤ちゃんに例えるならば、お腹の中に居る期間が長くて、生まれてきて過ごした期間が短い…ということになります。

 

つまり、赤ちゃんが頑張って生まれてきたは良いけれど、何らかの原因で、生きられる時間はわずかである…と。

 

そう考えると、また”時間のリボン”という言葉の捉え方も変わってきます。例えば、”時間のリボン”=”へその緒”という考え方…赤ちゃんは、最初は母親とへその緒で繋がった状態で生まれてきます。母親を、唯一の生の寄るべとして、赤ちゃんが存在していたとしたら、それを断ち切るということは、そのまま”死”へとつながるかもしれません。

 

あとは、”時間のリボン”=”点滴などの管”とすると、延命措置を断ち切る、という解釈などにもつながります。

 


■いずれにしても、不穏な解釈なのですが、じゃあ他の部分の歌詞は…というと、まずは冒頭の歌詞。

 


流れる水をすべって
夕暮れの冷たい風を切り
ほおずりの思い出が行く
うしろから遅れて僕が行く

 

これが冒頭の歌詞です。まだ、この辺りは、情景が浮かんできそうですよね。何となく、”水”や”夕暮れ”という歌詞から夏のイメージが浮かんできます。そもそも、カゲロウが夏の昆虫なので、なおさらこの曲に夏のイメージを感じます。

 

あとは、”ほおずり”という言葉については、言わずもがな、自分の頬を相手にすりつけることを表す言葉ですが、個人的にほおずりをする対象としての勝手なイメージとしては、”小さな子ども”か”小さな動物”が浮かびました。いずれにしても、その対象への愛情表現ですよね。

 

なので、この冒頭の部分は、大切な人と過ごした日々の思い出を表わしてる部分とまとめることができそうです。

 


あとは、2番のAメロ~Bメロの歌詞ですね。ここでね、一気に歌詞の解釈を見失ってしまうんですよ笑

 


ピカピカ光る愉快な
顔の模様が浮かんだボールが
ポタポタ生まれ落ちては
心の窓ガラスたたいてる

 


歩道橋の上から
カンシャク玉をバラまいたら
空の星も跳ねた

 

ね、意味が分からないでしょ?お手上げです笑

 


■ということで、【353号線のうた】と同様、とても解釈の難しい歌だというイメージです。あなたは、この歌からどんな解釈を紡ぎますか?

246時限目:353号線のうた

【353号線のうた】

353号線のうた

353号線のうた

  • provided courtesy of iTunes

 

■もともとは、スピッツがインディーズ時代に発表した、ミニアルバム『ヒバリのこころ』に収録されている曲であり、2021年に発売になったSpecial Album『花鳥風月+』にも収録されました。

 

ミニアルバム『ヒバリのこころ』は、1990年3月20日に発売になったミニアルバムで、スピッツのデビューが1991年であるので、結成~メジャーデビューの間でこのアルバムは発売されたことが分かります。

 


ミニアルバム『ヒバリのこころ』の収録曲は、

 

01.ヒバリのこころ
02.トゲトゲの木
03.353号線のうた
04.恋のうた
05.おっぱい
06.死にもの狂いのカゲロウを見ていた

 

という計6曲ですが、このうち、【ヒバリのこころ】【トゲトゲの木】【恋のうた】【おっぱい】の4曲は、スピッツがメジャーデビューした後に音源化され、CDで聴くことができたのですが、残りの2曲、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】は、メジャー後の音源化はなく、聴くことができませんでした。

 

それが、スピッツがメジャーデビュー30周年を迎えた今年(2021年)、デビュー30周年の記念的な作品として発表された、Special Album『花鳥風月+』に、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】が初音源化されて収録されました。

 

ということで、今回の記事では、【353号線のうた】について語ってみたいと思います。

 

 


■まず、タイトルにもなっている”353号線”について調べてみました。

 

”〇号線”とあるので、おそらく日本の国道のことを指しているんだろうと思い、そういうつもりで調べてみると、353号線はwikiによると、群馬県桐生市から新潟県柏崎市に至る一般国道であると情報を得ました。

 

何か特徴的なことはないか、この353号線について調べてみるのですが、特に何も見つかりませんでした。そもそも、なぜこの353号線をタイトルに曲が作られたのか、メンバーと何か関連があったのか、さっぱり分かりませんでした…。

 


ただ一つ思ったのが、【353号線のうた】の中に、

 


地図にない道を選んで
海の見える街へ行こう

 

という歌詞が出てくるのですが、群馬県は皆さんもご存じの通り、海に接していない県であるので、353号線の一端である群馬県桐生市にも海はないのですが、もう一端にある新潟県柏崎市は海に面しています。

 

なので、”海の見える街へ行こう”と言っているこの歌の主人公(たち)は、群馬県側から新潟県へと、車を走らせているのだろうと想像することができます。ただ、それが何を意味することなのか、それは分かりません。そもそも、本当に車を走らせているのかということ自体が怪しいですが。

 

 

 

■曲自体についての感想や情報についてまとめてみます。

 

まず、さすがインディーズ時代の曲、一癖も二癖もある曲ですね。ただ、同時代に発表された【恋のうた】が、”スピッツがパンクロックから転向するきっかけになった曲”とよく語られるので、スピッツ自体が音楽的に変わっていった時期の曲であることは分かります。

 

イントロがフォークギターのストロークから始まっているのは、そういうパンクロックからの脱却の象徴でしょうか。ボーカルの草野さんは、この頃からフォークギターを握って歌っていたということが、色んな所で語られています。

 

続いて聴こえてくるのは、印象的なベースのリフです。スピッツは、ライヴでメンバー紹介のコーナーがあり、その中で田村さんがベースをソロで弾くのが恒例になっているのですが、何のライヴでかは忘れてしまいましたが、ここのベースのリフを演奏していたのを聴いたことがあります。すごい印象に残るベースのリフですよね。

 

その後、草野さんのボーカルが入ってくるのですが、やはりインディーズ時代の草野さんのボーカルは、今と雰囲気が全然違って聴こえます。曲が曲なだけに余計に、ちょっととぼけた感じに聴こえてきます。どこか、甲本ヒロトっぽく聴こえるところもありますね。ブルーハーツ時代のヒロトも、例えば【TRAIN-TRAIN】とか【リンダリンダ】など、力強く歌っている歌が多い一方、力を抜いて歌っている歌なんかは、優しくもちょっととぼけた感じに聴こえることがあります。

 

それから、サビで「パーパーパパ―パパーパー」というコーラスが入るのも印象に残りました。このコーラスについてですが、よく聴くと女性の声も聴こえてきます。クレジットによると、コーラスの欄に”アサコ&サナエ_CHICKS”とあります。

 

今回調べてみて初めて知ったことですが、CHICKSというバンドは、アニメ『キテレツ大百科』のオープニングテーマソングである【すいみん不足】を歌っていたバンドだそうですね。「すいみんすいみんすいみんすいみんすいみん不足」という歌詞が今でも記憶に残っています、ぶち懐かしい笑

 

とにかく全編が派手で、楽しそうな雰囲気を感じる曲です。特に、アウトロ辺りは、まるでお祭りみたいに、かなり自由に盛り上がっています。そして、この頃からもうすでに、メンバーの演奏技術の高さを感じることができます。

 

 

 

■という感じで、さすがインディーズ時代、曲の感じはかなり今と印象が違って聴こえるのですが、やはり一番注目したいのが、歌詞の部分です。

 

ただし、結論から言ってしまうと、どういう意味なのか、さっぱり分かりません笑 本当に難解です。なので、これで終了!で(あきらめて笑)もいいかなとも思えましたが、ここはスピッツ大学…一番はやはり、歌詞の解釈にこだわってやってきたつもりなので、頑張って語ってみたいと思います。これこそ、色んな解釈ができそうな歌詞なので、皆さんの解釈も聞いてみたいですね。

 


そもそも、草野さんの書く詩のテーマとしては、よく「セックスと死」というものが挙げられます。特に、それは初期のころの楽曲に顕著だと個人的には思っていて、極端にいうと、”性”か”死”か、大抵の曲はどちらかに分けられるのではないかと考えています。

 

で、今回の【353号線のテーマ】についてですが、とても不思議な歌詞であり、”性”の方向にも、あるいは”死”の方向にも、解釈が進められそうだなと感じたので…というより、どちらにも絞ることができなかったので…それぞれの方向に向かって、別々の2つの解釈をしてみました。

 


①”性”の解釈

 

こちらの解釈に進むきっかけになった歌詞として、サビの部分がまず挙げられます。

 


裸になれたらいいな
きのうよりはずかしくても
僕らのうたは止まらない

 

この辺りの歌詞が、何やらイヤーンだなと思いました。”裸”とは、文字通りに”裸”と捉えても良いですし、お互いの素を見せ合うという意味での”裸”と訳しても良さそうです。

 

”きのうよりはずかしくても”…例えば、付き合い初めの男女でしょうか、少しずつ愛を深めていって、いよいよ初めてのイヤーンにたどり着いた、という感じにも読めます。

 

”僕らのうた”…ここの”うた”は、例えば、”喘ぎ声”の隠語と捉えてみるとどうでしょうか。

 

…という風に流れで考えてみると、ここはイヤーンな行為について歌っていると読むことができるかもしれません。

 


こういう解釈に一旦至ってしまえば、冒頭の

 


月まで続いてそうな
坂を登りつめたあとは
地獄の入り口みたいな
真暗な森に入った

 

という謎の歌詞も、何となく”挿入”の描写に読めてしまいました。

 


②”死”の解釈

 

個人的には、こっちの解釈の方がしっくりきています。1番のAメロは、どうしても男女が2人で死に場所を探しているように読めて仕方がありません。個人的には、何となく【死神の岬へ】を思い出させるような歌詞だなと感じました。

 


月まで続いてそうな
坂を登りつめたあとは
地獄の入り口みたいな
真暗な森に入った

 


缶ジュースを飲みたくて
車を止めて探したよ
だけどもここでは多分
空き缶さえ見つからない

 

草野さんの書く歌詞の中に出てくる”丸い物”は、”死”の象徴として描かれていると言われています。

 

とすると、いきなり冒頭で”月まで続いてそうな”という歌詞が出てきますが、これこそまさに、”死”に近づいて行っている、と読むことができるかもしれません。

 

あとは、”地獄の入り口”とか”真暗な森”、続く歌詞として、”空き缶さえ見つからない”などの部分は、どこか俗世を離れていってる感じがします。

 


2番のAメロでも、なかなか意味深です。

 


小さくなってく僕ら
なんだかすごくいい気持ち
つまらない悩みごとに
二度と苦しむこともない

 

 

ここも、実は”性”の解釈としても読むことができそうなんですが…”つまらない悩みごとに 二度と苦しむこともない”というところで、やはり、悩みごとを”死”でもって解決させるという風に読むことができそうです。

 

”小さくなってく僕ら”という歌詞も、例えば、車ごと崖から落ちていって、崖下へ小さくなって消えていく様子も想像できそうですし、あるいは逆に、成仏した魂が空に帰っていく様子にも想像できます。

 


■ということで、はっきりとどちらかに絞ることができませんでしたが…さすが、インディーズ時代の謎曲ですね。

 

皆さんは、この歌からどんな物語を想像しましたか?”性”の解釈?”死”の解釈?はたまた、全く別の解釈でしょうか?

アルバム講義:Special Album『花鳥風月+』

花鳥風月+

Special Album『花鳥風月+』
発売日:2021年9月14日


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 流れ星
→ 112時限目:流れ星 - スピッツ大学

 

02. 愛のしるし
→ 3時限目:愛のしるし - スピッツ大学

 

03. スピカ
→ 78時限目:スピカ (スピッツ大学ランキング 第1位) - スピッツ大学

 

04. 旅人
→ 87時限目:旅人 - スピッツ大学

 

05. 俺のすべて
→ 35時限目:俺のすべて - スピッツ大学

 

06. 猫になりたい
→ 126時限目:猫になりたい - スピッツ大学

 

07. 心の底から
→ 52時限目:心の底から - スピッツ大学

 

08. マーメイド
→ 176時限目:マーメイド - スピッツ大学

 

09. コスモス
→ 53時限目:コスモス - スピッツ大学

 

10. 野生のチューリップ
→ 188時限目:野生のチューリップ - スピッツ大学

 

11. 鳥になって
→ 105時限目:鳥になって - スピッツ大学

 

12. ヒバリのこころ
→ 145時限目:ヒバリのこころ - スピッツ大学

 

13. トゲトゲの木
→ 102時限目:トゲトゲの木 - スピッツ大学

 

14. 353号線のうた
→ 246時限目:353号線のうた - スピッツ大学

 

15. 恋のうた
→ 49時限目:恋のうた - スピッツ大学

 

16. おっぱい
→ 32時限目:おっぱい - スピッツ大学

 

17. 死にもの狂いのカゲロウを見ていた
→ 247時限目:死にもの狂いのカゲロウを見ていた - スピッツ大学

 


■1991年3月25日、スピッツは1st Single『ヒバリのこころ』と1st Album『スピッツ』を同時リリースして、メジャーデビューを果たしました。

 

ちなみに、そこからさらにさかのぼることおよそ3年半前、現メンバーの揃ったスピッツが、文化服装学園の文化祭で初めてライヴ出演したというところから、結成日としては1987年7月17日が位置付けられています。

 

なので、スピッツが結成からメジャーデビューまでに有した時間は、まぁそのままですが…およそ3年半だったということが分かります。

 


■ただ、スピッツ自身は、メジャーデビューというものには、そんなにこだわっていなかったということを、色んなところで語っています。例えば、書籍「旅の途中」の中でも、田村さんと草野さんは、それぞれ次のように語っています

 


 『イカ天』に出たバンドは次々にブレイクしていったが、そのままメジャーデビューしていく彼らを見て、かっこいいなとか羨ましいとかはまったく思わなかった。
 CDを出せたらいいな、とは思っていたけれど、プロになりたいとは思っていなかった。あの頃の俺たちにとっては、メジャーでCDを出すことが決してカッコイイことではなかった。むしろ、トンガっているイメージのある、インディーズで出すほうがかっこいいと思っていたからだ。

 

 …メジャーデビューすると、バンドの個性がねじ曲げられるんじゃないか。
 そういう思いも強かった。実際にそういうバンドを見てきたし、そういう話も漏れ聞いていた。

 


 メジャーデビューを焦る気持ちはなかった。
 メジャーデビューでデビューアルバムを作っている時も、インディーズで二枚目を作らないかという話よりもメジャーからデビューしないかという話が来たのが早かっただけ、という感覚だった。

 

スピッツはライヴバンドである」という想いを、メンバーが色んなところでよく語っています。前提として、ライヴがしたいという想いが一番強く、そのためにはCDを発表して名前を知ってもらうこと、そして、そもそも音楽を続けていくために…と考えた結果、メジャーデビュー自体が目的なのではなく、あくまでそれらを大切にするための手段に過ぎなかったのだと思われます。

 


■何はともかく、スピッツはメジャーデビューを果たしました。

 

どうやら先に音楽事務所をロードアンドスカイに決めて、その後、レコード会社をポリドールに決めたようです。

 

当時のポリドールのディレクターである竹内修という名前や、ロードアンドスカイの社長である高橋信彦という名前は、よくスピッツの書籍やCDのクレジットなどで見かける名前でもあります。

 

書籍「旅の途中」だったり、3050LIVEに付随しているDVDなどでも見かけますが、スピッツのメンバーやスピッツの音楽は、竹内さんや高橋さんを初め、周りの人たちに本当に愛され、また信じられていたことがよく分かります。

 


■ということで、時を現在に戻し、2021年3月25日。

 

スピッツは、メジャーデビュー30周年を迎えました。結成30周年の時もそうでしたが、メジャーデビュー30周年も同じように、自分が成し遂げたわけでもないけど、非常に感慨深く思っています。

 

世間的に、2020年よりコロナ禍が続いていることにより、たくさんのライヴが延期・中止になってしまい、決してミュージシャンや音楽業界としても明るいとは言えない時期が長く続いています。

 

そんな中で迎えた、メジャーデビュー30周年の記念の年ですが、それでもスピッツは精力的に活動をしています。

 

例えば、件のメジャーデビュー30周年記念日の2021年3月25日には、スピッツは配信シングル『紫の夜を越えて』を発表しました。個人的には、メジャーデビュー30周年記念…という感じは、曲からはあんまり感じ取ることはなく、やはりと言えばやはりですが、このコロナ禍への憂いの気持ちや、そんな困難な時代を生きている人々に向けて、という側面を強く感じました。

 

あと、これも楽しみですね、スピッツの新曲【大好物】が11月3日公開の映画『劇場版「きのう何食べた?」』の主題歌に選ばれました。これに関しては、今の所は映画の予告編で少しだけ聴けるのみで、続報を待つばかりですが、どんな形で発表になるのか、今から楽しみです。

 


■そして、2021年9月14日。Special Album『花鳥風月+』が発売になりました。これに関しても、シングル『紫の夜を越えて』と同様に、メジャーデビュー30周年記念的な側面が強い作品だと思われます。

 

さかのぼること、実におよそ22年前…1999年3月25日(奇しくもメジャーデビュー日)に、スピッツは『花鳥風月』というアルバムを発売させました。この作品は、いわゆる”普通の流れ”で発売になるオリジナルアルバムとは違っていて、Special Albumという風に呼ばれる特別な作品になっています。

 

Special Albumと呼ばれている所以としては、このアルバムが、アンチベストアルバムを貫くスピッツが、そのベストアルバムへのアンチテーゼとして発表した、カップリング集という形を取っているからなのです。

 

スピッツカップリング曲には、素晴らしい曲がたくさんあって、それらがまとめて聴ける『花鳥風月』は、”Special”の名前の通り特別な作品であり、かくいう僕自身も、スピッツカップリング曲に多く触れたきっかけになった作品でした。

 

『花鳥風月』は、もうこれはこれで完結した一つの名盤だったのですが、その発売から22年が経った今年、何と収録曲を増やして、新たに『花鳥風月+』と名前を変えて発売させるという情報が発表されたのです。まさに、寝耳に水のサプライズでしたね。

 


■しかも、その新たに収録される曲が、これまたすごかったんです。

 

先程紹介した通り、『花鳥風月』はカップリング集なのですが、カップリング曲以外にも、スピッツのインディーズ時代の楽曲や未発表曲なども収録されていました。

 

例えば、『花鳥風月』のラスト2曲には、【おっぱい】と【トゲトゲの木】という曲が入っているのですが、この2曲は、スピッツがインディーズの頃に発表したミニアルバム『ヒバリのこころ』に収録されていた曲でした。

 

ミニアルバム『ヒバリのこころ』が発売になったのは、1990年3月20日のことで、つまり冒頭で説明しました、結成~メジャーデビューの間の期間で発売されました。その収録曲を紹介しておきますと…

 

01.ヒバリのこころ
 (シングル曲&アルバム『スピッツ』収録曲)
02.トゲトゲの木
 (アルバム『花鳥風月』収録曲)
03.353号線のうた
 (アルバム『花鳥風月+』でメジャー後初音源化)
04.恋のうた
 (アルバム『名前をつけてやる』収録曲)
05.おっぱい
 (アルバム『花鳥風月』収録曲)
06.死にもの狂いのカゲロウを見ていた
 (アルバム『花鳥風月+』でメジャー後初音源化)

 

という感じでしたが、アルバム『花鳥風月+』の収録曲と見比べると分かると思うのですが、12曲目~17曲目がそのままミニアルバム『ヒバリのこころ』に入れ替わっていることに気付くはずです。

 

そして、多くの曲は、メジャーデビュー後も何らかの形でこれまでに音源化されて聴くことができたのですが、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】の2曲は、メジャー後初めて音源化されて聴くことができるようになりました。(厳密には、【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】は、映像作品『ジャンボリー・デラックス LIVE CHRONICLE 1991-2000』にて、2番だけライヴ映像で聴くことができます)

 


■ミニアルバム『ヒバリのこころ』について、もう少しだけ紹介しておきますと、まず、やはりインディーズ時代の作品だけあって、今はもう手に入れることはできなくなっています。リアルタイムで調べて見ると、とあるネットオークションでおよそ87000円で取り引きされていましたが、果たして…。

 

スピッツは、インディーズ時代には、カセットテープやソノシートなどで自主制作作品をいくつか発表しているようですが、その中でもミニアルバム『ヒバリのこころ』は、インディーズ時代に発売された唯一のCD作品であるようです。

 

どうやら、初回プレスで2000枚作ったようですが、再プレスされるほど売れなかったようなので、まぁ2000枚弱しか世には出回っていないんですかね。

 

書籍「旅の途中」の中にも、少しだけこの作品について語られています。

 


 「そろそろCDを出さないか?」
 ロフトがやっていたインディーズ・レーベル『ミストラル・ミュージック』から、という話だった。
(中略)
少なくとも、メジャーに行く前に、インディーズというステップを踏んで、スピッツのスタイルを示しておきたいという思いがあった。

 


 でも、『ヒバリのこころ』は売れなかった。
(中略)
 それよりも、当時の自分たちにとっては、いいCDができたということがうれしかった。音にも満足していたし、人とは違うものができたという手ごたえもあった。反響がなくても、時代が合わないんだろうな、くらいにしか考えていなかった。

 

など、『ヒバリのこころ』の話も含めて、インディーズ時代の古い話も入っていますので、「旅の途中」良かったら読んでみてください、面白いです。

 


■ということで、大変長くなっていますが、アルバム『花鳥風月+』の感想を述べていきたいと思います。

 

…と言っても、アルバム『花鳥風月』の記事はかつてスピッツ大学でも書きましたので、『花鳥風月』の部分はそちらに任せるとして、本記事は、『花鳥風月+』によって変わった部分を中心に紹介していきたいと思います。

 

itukamitaniji.hatenablog.com


まず、アルバム『花鳥風月+』に収録されている音源は全て、スティーブン・マーカッセン氏という、何ともすごそうな人による、リマスター盤となっています。

 

この人はあれですね、2002年にスピッツの1st~8thアルバムのリマスター盤が発売になったのですが、そのリマスターを手掛けたのも、このスティーブン・マーカッセン氏でした。要は、録音し直すのではなく、元々ある音源を音質よく生まれ変わらせるという感じですね。映画とかでもありますよね。

 

『花鳥風月+』の音源は、はっきりとクリアに聴こえるようになったイメージです。分かりやすいのが、音量が大きく聴こえますよね。これまでの『花鳥風月』やリマスター盤ではないオリジナルアルバムは、音量が少し小さく聴こえて、最近の高音質なアルバムと合わせて聴いていると、違和感があったんですけど、リマスタリングされたことにより、同じように気にせず聴けるようになりました。

 


■そして、何と言っても、ミニアルバム『ヒバリのこころ』に収録されていた曲たちについてですよ。やっぱり、この曲たちを聴けることが、『花鳥風月+』で一番楽しみな部分でした。

 

ちなみに、【トゲトゲの木】と【おっぱい】については、もちろんリマスタリングされていますが、従来の『花鳥風月』に入っていたものと同じでした。

 


ヒバリのこころ
これが表題曲になるんですね。ここからも、スピッツにとって、昔からこの【ヒバリのこころ】という曲を、特に大事にしてきたことがよく分かります。

 

イントロの疾走感は、メジャーバージョンとあんまり変わらないんですけど、何かボーカルが入ったところから、インディーズバージョンの方は、何かもったりしてる感じがしますね。疾走感というより、何かすごい丁寧に歌唱・演奏しよう頑張っている感じがします。

 

それから、サビに入る前のキーボードの音ですかね、「テテテテッテ」って聴こえてくる音が、何か気が抜けてちょっと笑えてきます。ちなみに、『花鳥風月+』の歌詞カードには、ミニアルバム『ヒバリのこころ』のオリジナルスタッフクレジットも載っているんですけど、そこには、マサムネと三輪テツヤのクレジットに、Keyboardと書かれています。

 

あとは、歌詞が変わっている部分が、何か所かあるようです。確認できたのは、”遠くでないてる”と”遠くで鳴いてる”、”緑のうた声”と”緑色のうた声”(どちらも”ミドリのウタゴエ”と歌っている)、あとがっつり変わっているところとしては、

 

<メジャーバージョン>

いろんなことがあったけど
みんなもとに戻っていく

 

<インディーズバージョン>

いろんなことがあったけど
すぐにもとに戻っていく

 

ここの”みんな”と”すぐに”ですかね。歌ってみた感じ、メジャーの”みんな”の方が自然な流れで歌える感じではあります。

 


【恋のうた】
スピッツのターニングポイントとなった曲として、パンクロックから転向するきっかけになった曲と紹介される曲として有名な曲ですね。

 

ただ、メジャー後はこの曲は2nd Album『名前をつけてやる』に収録されているのですが、このメジャーバージョンの【恋のうた】は、ひとつの完成形としてほとんど違和感なく聴けるんです。

 

それと比べると、インディーズバージョンの【恋のうた】は、言うならばスピッツの”変身の途中”という感じですね。まさに、パンクロックからスピッツロックへ、”ブルーハーツのコピー”から”スピッツらしさ”へ…「ああ、なるほどね、こういう感じでスピッツは変わっていったんだ」って、それを感じることができる、その狭間にあるような貴重な1曲です。

 


■あとは、何と言っても、メジャー後初音源化された、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】ですよ。

 

【353号線のうた】
まず、サビの”パーパーパパーパパパー”が頭から離れません。THE BLUE HEARTSに【パーティー】という歌があるのですが、その歌でもパーパー歌われているのですが、何かそれを思い出しました。

 

(※追記 調べて見ると、音源を発表した時期としては、THE BLUE HERATSの【パーティー】は1993年であるので、【353号線のうた】(1990年)の方が古いんですね。)

 

そして、やはりインディーズ時代の曲、歌詞の世界観がすごい。何となく、1st Album『スピッツ』に収録されている、【死神の岬へ】で歌われているような、”あの世への逃避行”的なイメージなのですが、どこか性的な部分も感じる、不思議な曲です。

 

そして、なぜ”353号線”なのでしょうか…。

 


【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】
まず、タイトルから謎です!この曲も、色々想像が浮かぶのですが、真っ先に僕が思い浮かべたのは、【ロビンソン】で歌われている、

 


片隅に捨てられて
呼吸をやめない猫も 
どこか似ている 抱き上げて
無理やりに頬よせるよ

 

という部分でした。カゲロウは、寿命が短い昆虫であり、数日~1週間しか生きられないとされています。そんなカゲロウを”見ていた”とは、つまり、人の死生について色々と想いを巡らせていたのかなと想像していますが、その辺りが、何となく上述の【ロビンソン】の猫の下りに似てるな、とも思ったんです。

 


いずれも、さすがスピッツのインディーズ曲、1st Albumや【晴れの日はプカプカプー】を思わせる、謎曲、奇曲です。この2曲については、また別に1曲ずつの記事を書こうと思っていますが、どのような方向性で書こうか、全く定まっていません…。

 


■アルバム『花鳥風月』を聴いていたのが、それこそ20年以上も前のことで、僕自身は中学生の頃でした。

 

ここのブログでも紹介していますが、自分にとって、『インディゴ地平線』と『フェイクファー』、そして『花鳥風月』の3作品は、カセットテープに吹き込んで何度も聴いた、いわばスピッツへとハマっていくその入り口になった作品たちです。

 

その中でも、『花鳥風月』は、収録されている曲がカップリング曲であり、その発表時期も非常に長い期間に渡っていたため、オリジナルアルバムとは違った雰囲気を纏った作品でした。

 

今回『花鳥風月+』で、久しぶりに通してこの作品を聴きましたが、非常に懐かしい感じがしました。音も良くなっていて聴きやすくなっているし、何よりインディーズ時代の曲がたくさん聴けるなんて、名盤がさらにパワーアップしたという感じですね。

スピッツ大学学長が今の気分で本気で選んだ スピッツカップリング曲BEST10

花鳥風月+

 

■平素より大変お世話になっております、スピッツ大学学長のitukamitanijiでございます。皆さん、お元気ですか?およそ、2ヶ月ぶりくらいのブログ更新になります。

 

リアルタイムで現在、2021年8月22日…またコロナウィルスが猛威を振るってきましたね。私が暮らす広島県広島市)でも、コロナ感染者が、日ごとに最多記録を更新し続けています。嬉しくない記録更新です。

 

まぁ、僕自身はずっと変わらず、基本は引きこもり、めったに出かけたりすることはないので、生活としては変わらないかもしれませんが、仕事の方には、さすがに影響が出そうです。

 

どうか皆さん、気を付けてお過ごしください。

 

 


■さて。

 

いよいよ迫ってきましたね、アルバム『花鳥風月+』の発売日!…と言っても、発売日は9月15日なので、まだ3週間以上もありますが…。

 

アルバム『花鳥風月+』のことを、少し紹介しておきますと、スピッツはかつてスペシャルアルバム『花鳥風月』という、カップリング曲を収録したアルバムを発表しました。それからおよそ22年後の今年、そのアルバム『花鳥風月』に、インディーズ曲を追加した新たなアルバム『花鳥風月+』を発売させることになったわけです。

 


ということで。今回の企画は、もうタイトルにもなっていますが…

 

もうすぐ『花鳥風月+』発売記念
スピッツ大学学長が今の気分で本気で選んだ
スピッツカップリング曲BEST10

 

をぶちかましたいと思います。ここスピッツ大学でも、カップリング曲にフィーチャーした記事などを書いたことがないので、もうすぐ『花鳥風月+』が発売になるというこの時期に(+自分の手が今空いているので…)、僕が好きなカップリング曲BEST10を紹介してみよう、という企画でございます。

 

 

 

■ところで皆さん、スピッツのシングルカップリング曲…どんな曲があるか、全て分かりますでしょうか?ひょっとしたら、シングルごとに入っているカップリング曲を全て覚えている変t…失礼、優等生も居るかもしれませんが…ちょっとおさらいしてみましょう(主に、僕が振り返りたいだけ笑)。

 

スピッツカップリング曲一覧

 

ビー玉 (c/w 1st『ヒバリのこころ』)
ニノウデの世界 (c/w 2nd『夏の魔物』)
鳥になって (c/w 3rd『魔女旅に出る』)
マーメイド (c/w 4th『惑星のかけら』)
コスモス (c/w 5th『日なたの窓に憧れて』)
心の底から (c/w 6th『裸のままで』)
夏が終わる (c/w 7th『君が思い出になる前に』)
ビーフェイス (c/w 8th『空も飛べるはず』)
猫になりたい (c/w 9th『青い車』)
恋は夕暮れ (c/w 10th『スパイダー』)
俺のすべて (c/w 11th『ロビンソン』)
ルナルナ (c/w 12th『涙がキラリ☆』)
バニーガール (c/w 13th『チェリー』)
旅人 (c/w 14th『渚』)
うめぼし(Live Version) (c/w 15th『スカーレット』)
君だけを (c/w 16th『夢じゃない』)
仲良し (c/w 17th『運命の人』)

 

エトランゼ(TANAYAMIX)
愛のしるし(LIVE'98 Version)
   (c/w 20th『流れ星』)

 

ムーンライト
春夏ロケット
 (c/w 21th『ホタル』)

 

船乗り (c/w 23th『遥か』)
大宮サンセット (c/w 24th『夢追い虫』)

 

ガーベラ
放浪カモメはどこまでも(LIVE)
稲穂
 (c/w 25th『さわって・変わって』)

 

SUGINAMI MELODY (c/w 26th『ハネモノ』)
孫悟空 (c/w 27th『水色の街』)
三日月ロック その3 (c/w 28th『スターゲイザー』)
リコリス (c/w 29th『正夢』)
シャララ (c/w 31th『魔法のコトバ』)
ラクガキ王国 (c/w 32th『ルキンフォー』)
夕焼け (c/w 33th『群青』)
まもるさん (c/w 34th『若葉』)
オケラ (c/w 35th『君は太陽』)

 

花の写真
恋する凡人 (Live from SPITZ JAMBOREE TOUR 2010)
つぐみ (Live from SPITZ JAMBOREE TOUR 2010)
           (c/w 36th『つぐみ』)

ナイフ (Live from SPITZ JAMBOREE TOUR 2010)
シロクマ (Live from SPITZ JAMBOREE TOUR 2010)
       (c/w 37th『シロクマ/ビギナー』)

 

ラクタ (c/w 41th『みなと』)
悪役 (c/w 42th『優しいあの子』)

 


…疲れました、こんなにたくさんあるんですね(全部紹介しきれてますよね?)

 

ということで、この中から、Live Versionとか、何たらMIXみたいなのを除いたカップリング曲36曲の中から、ベスト10を決めました。(ちなみに、【恋する凡人】はライヴテイクが先にカップリングになったので、36曲に含まれています。)

 

ということで、ようやく今回の本題でございます。以下、結果発表です。皆さんも、自分のスピッツカップリング曲ランキングがあれば、それと比べながらご覧ください!

 

 

 

第10位 ガーベラ  
(シングル『さわって・変わって』カップリング曲)

ガーベラ

ガーベラ

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これ、カップリング曲だったんですね、すっかり忘れていました…という感じの1曲でした苦笑。アルバム『三日月ロック』の収録曲という印象が強いです。シングル『さわって・変わって』には、カップリング曲が3曲も入っていてすごいお得ですね。シングルというより、EPって感じです。

 

【ガーベラ】は、スピッツ屈指の名バラードだと思うんです。歌詞の雰囲気とも相まって、夜の空を見上げているような、そんな壮大な広がりを感じる曲です。草野さんのボーカルって、高音はもちろんきれいなんですけど、この曲のAメロみたいな、低音の時々ちょっとかすれる感じの声も良いですよね。

 

 

第9位 ベビーフェイス
(シングル『空も飛べるはずカップリング曲)

ベビーフェイス

ベビーフェイス

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確かこれは、「身内を亡くした友人のために作った歌」とかなんか聞いたことがあるんですけど、情報が見つからない…何かで読んだ記憶があるんですが、間違っていたらすみません。

 

ただ、曲調は何かを祝っているような、明るく楽しい感じなんですけど、歌詞を読んでいくと、”星になったあいつも空から見てる”とか、人の死が垣間見える言葉があったりして、やっぱりそういう曲なのかな、と想像したりしています。この辺りのギャップが、秀逸というか狂気というか…。

 

まぁ、聴く時はあんまり気にしていないですけどね。アルバム『空の飛び方』にも収録されていますが(こちらはアルバムバージョン)、アルバムの収録曲として、中学生の頃にめっちゃ聴いてた記憶があります。

 

 

第8位 夏が終わる
(シングル『君が思い出になる前に』カップリング曲)

夏が終わる

夏が終わる

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調べて見ると、どうやらアルバム『Crispy!』に収録されたのが先のようですね。同アルバム収録の【君が思い出になる前に】をシングルカットする時に、この【夏が終わる】もカップリング曲として収録されました。なので、厳密にはシングルで初めて聴けたカップリング曲ではないですが…まぁ良いか。

 

タイトル通り、夏の終わりになると聴きたくなる曲ですね。AOR的な、大人な雰囲気が漂う曲です。

 

 

第7位 オケラ
(シングル『君は太陽カップリング曲)

オケラ

オケラ

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3rd Album『惑星のかけら』を彷彿させるような、ゴリゴリのグランジを思わせる曲です。実は、最初は割と苦手な感じの曲でしたが、今は【君は太陽】よりもこっち派です。

 

ある時期から、スピッツのシングルカップリング曲が、割と実験的な位置付けになってきて(確かどこかで、田村さんがそういうことを言っていた気がしますが)、シングルとはガラッと違う雰囲気の曲がカップリングに入っていたりするので、何かニヤッとします笑。

 

ただ、最近のシングルは、【猫ちぐら】しかり【紫の夜をこえて】しかり、配信が多くなってきたので、スピッツに関わらず(BUMPとかもカップリング曲好きだったんですけどね…)、カップリング曲を楽しむということがなくなってきたのが、何か寂しいです。

 

 

第6位 三日月ロック その3
(シングル『スターゲイザーカップリング曲)

三日月ロック その3

三日月ロック その3

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ここスピッツ大学で行ったランキング企画の中でも、カップリングでありながら第23位でした。カップリング曲だけに絞れば、これは第4位になります。ちなみに、第3位は【俺のすべて】、第2位は【恋する凡人】、第1位は…カップリング曲最強のあの曲です。分かりますかね?

 

スピッツファンに人気の高い1曲だという印象です。アルバム『三日月ロック』には、表題曲がなかったくせに、その後になって、その1とその2を華麗にスルーして、いきなり【三日月ロック その3】を発表するあたりも、面白いところ。

 

まさに、これぞスピッツ流のギターロックという感じの曲ですね。この曲は、ギターの音が好きなんですけど、特にAメロのブリッジミュート…って言い方が正しいんですかね、音が「ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ…」って鳴っているやつ、他だと、【晴れの日はプカプカプー】とか【潮騒ちゃん】とかにも出てきますが、音が気持ちよくて好きなんです。

 

 

第5位 リコリス
(シングル『正夢』カップリング曲)

リコリス

リコリス

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スピッツを聴きはじめて、もうすでに25年くらい経過しているんですけど、未だにスピッツの曲を聴いていると、新しい発見などに出会うことがあるのは、面白いところだと思います。

 

この【リコリス】も、そんなに聴いてなかった曲だったんですけど、記事を書く時になって、改めてこの曲がどういう曲なのか、この曲だけをエンドレスリピートで聴いていたことがありました。結局、どういう曲なのか(特に歌詞的な意味で…)よく分からなかったんですけど…そのまま眠ってしまって、眠っている間中ずっと頭の中で、【リコリス】が流れてしまった結果、起きた後もずっと頭の中で【リコリス】のサビの”ふーれーあーうーこーとーかーらーはーじーめーるー”が響いていました。

 

そういう洗脳効果(?)もあって、【リコリス】という曲が大好きになりました。ボーカルに何かエフェクトがかかっていて、天から声が響いている感じ、映像だったら白くかすんでいる感じのイメージです。アコギの音が印象的で、間奏のアコギとエレキギターとキーボードの音の混ざり合いがきれいです。

 

 

第4位 孫悟空
(シングル『水色の街』カップリング曲) 

孫悟空

孫悟空

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 スペシャルアルバム『色色衣』にも入っていますが、『色色衣』自体、草野さんが「ごった煮」と表現していたように、アルバム『ハヤブサ』やアルバム『三日月ロック』の後の、一番濃くおいしい部分が詰まった作品って感じで、かなり実験的な曲も多く入っています。今はもう廃盤になっている、『99ep』の曲とか良い曲ですよね。

 

そんなアルバムの収録曲でもあります、【孫悟空】ですが、とにかくかっこいい曲です。レゲェ調(?)で曲が始まったと思ったら、サビから一気にメロディックなギターロックに早変わり、このAメロからサビに切り替わるところが、めちゃくちゃかっこいいんです。さらに、大サビまであるという、ダイナミックな展開が熱い曲です。

 

 

第3位 悪役
(シングル『優しいあの子』カップリング曲) 

悪役

悪役

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現時点では、一番新しいカップリング曲になります。今日紹介しているカップリング曲の全ては、Live Versionや何たらMixなどを除き、オリジナルアルバムかスペシャルアルバムに収録されていて聴けるのですが、【悪役】のみアルバム収録されておらず、シングル『優しいあの子』でのみ聴ける曲ということになりますので、聴いたことのない方はぜひ聴いてみてください。めちゃくちゃかっこいい曲です。

 

まだ記憶に新しい、【優しいあの子】の朝ドラ主題歌起用ですが、個人的な想いですが…確かに【優しいあの子】は良い曲ではあったのですが、どこか物足りなさを感じていたんです。率直に、もっとロックを欲していたんです。

 

そこに来て、シングルが発売になって、カップリング曲に【悪役】ですよ。そうそう、これだよ!ってな感じでしたね!にしても、タイトルだけ見ると、朝ドラ主題歌【優しいあの子】のカップリング曲に、【悪役】とはね。”優しい”と”悪”だなんて、何ていうひねくれなんだっていうね。A面でしっかりと国民的バンドのスピッツを見せつつ、B面で少し毒を吐くみたいな、そういう対比が面白い両曲だなという印象です。

 

最高にかっこいい曲です。もう、ギターのためにある曲って言って良いほど、ギターのフレーズがめちゃくちゃかっこいいです。疾走感が気持ちい良い曲なんですけど、パンクロックっぽさもあって、単純には括れない感じのおもしろい曲です。

 

 

第2位 バニーガール
(シングル『チェリー』カップリング曲) 

バニーガール

バニーガール

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僕がスピッツにハマったのは、今からおよそ25年前…小学5年生くらいの時に、最初は偶然でしたが、【チェリー】を聴いたことがきっかけでした。その後、しばらく経ってだったと思いますが、シングル『チェリー』を中古CDショップで購入しました。

 

当時は、まだ”カップリング曲”というものに対しては、ただ単にシングル曲のおまけ程度にしか考えておらず、特に気にしていませんでした。そういう時に、シングルのカップリング曲である【バニーガール】を聴くことになるわけです。で、めちゃくちゃかっこいいじゃないですか!何、”バニーガール”なんていうヘンテコなタイトルをつけながら、こんなかっこいいギターロックの曲は!?

 

なので、そもそも、カップリング曲はシングルのおまけなんかじゃなくて、もうカップリング曲自体が完成された、一つの素晴らしい楽曲なんだと、認識を改めた最初のきっかけが、この【バニーガール】でした。

 

何か、自慢げに言ってましたね。
「…あぁ、【チェリー】良い曲だよね。でも、B面の曲(最初はB面とか呼んでたなぁ…)の【バニーガール】も良いよね…え、何?知らないの?絶対聴いた方が良いよ(ドヤッ)」って感じに。

 

スピッツしかり、あと個人的にカップリング曲が良いなと思うのは、BUMP OF CHICKENとかね、シングル曲を平気で食ってしまうことあったりして、恐るべしカップリング曲!という感じです。

 

 

第1位 猫になりたい
(シングル『青い車カップリング曲) 

猫になりたい

猫になりたい

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やっぱりこれで、間違いないですね!超名曲、王道中の王道です!スピッツカップリング曲の中でも、知名度はトップクラスなのではないでしょうか。

 

ここスピッツ大学で行ったランキング企画の中では、全体で第11位でした。惜しくもBEST10入りは逃がしましたが、200曲以上あるうちの、しかもカップリング曲で第11位なので、さすがだなと思います。そして、カップリング曲だけに絞ると、見事第1位でした。やはり、スピッツファンにも人気の高い曲ですね。

 

草野さんの書く詞というのは、良い意味で回りくどいんですよね。古くは、シングル曲【裸のままで】において、”君を愛してる”なんていう直接的な言葉を使うことに抵抗を示していましたが、そんな風に直接的な言葉は使わないで、君への想いを表現したり、面白い例えを使って言い換えるというのは、草野さんの歌詞の特徴です。

 

例えば、【恋のはじまり】という曲では、恋のはじまりとして、普段は絶対にしないような行動として、”花屋のぞいたりして”と表現してたり、【恋は夕暮れ】なんてのも、”恋”というものを色んなものに例えています。

 

【アカネ】では”身体のどこかで 彼女を想う”、【仲良し】では”いつも仲良しでいいよねって言われて でもどこかブルーになってた”、新しい曲でいうと、【優しいあの子】でも、きれいな景色に出会ったその感動を、”優しいあの子にも教えたい”と歌って、あの子への気持ち(恋心)を表現していると考えることができます。

 

そして、今回の【猫になりたい】も…スピッツ大学では、”ストーカーソング”という解釈も紹介していますが、とにかく自分が思っている人と一緒に居たい、という気持ちを、”猫になりたい”と表現するところとか、まさに回りくどさ爆発じゃないですか!君と一緒に居たいだの、君が好きだの、あなたがくればいいのに、などと言えばいいのに、そういう直接的な表現を避け、”猫になりたい 君の腕の中”と言うところとか、草野さんらしい表現だなという印象です。

 

個人的な思い出としては、この曲との出会い自体はもう古く、それこそ中学生の頃…もう20年以上も前になるんですけど、そこから時が経って自分が大学生の時に、バイト先の人とカラオケに行った時に、先輩の女性がいきなり【猫になりたい】を選曲していきなり歌い始めたんです。

 

「え、先輩、スピッツ好きなんですか?【猫になりたい】知ってるんですか!?」と、テンションが上がって、そのままその先輩に恋に落ちていた…という思い出がおじさんにもあるんですよ笑。

 

…まぁ、そういう思い出補正もありつつ、まぁやっぱり歌詞の世界観の印象が強いですね。文句なし、大番狂わせなしで、この曲をカップリング第1位とさせていただきました。

 

 

 

■はい、ということでいかがだったでしょうか。

 

カップリング曲って、やっぱり良いですよね。あの、シングルが出る時って、割とそのシングル曲の方は、例えば、先にMVが発表されているとか、ラジオで音源が発表されているとか、映画やドラマなどの主題歌だったらそれで先に聴けるとか、要は、新曲と言えど、シングルを買う前から少しは聴いている場合が多いですよね。

 

そこへ来て、カップリング曲は、シングルで全く初めて聴くことが多いので、シングルを買う目的として、カップリング曲を聴くことはかなり大きいんです。

 

ただ、シングル曲をレコード盤で出すこと自体の需要が減ってきて、カップリング曲という概念、文化そのものが薄れてくるのは、何か寂しいですね。果たして、新曲の【大好物】は、どういう形で発売になるのでしょうか?

 

 

ところで、2019年にアルバム『見っけ』が発売になったのならば、3年周期の法則に則れば、来年に新しいアルバム発売!?【猫ちぐら】【紫の夜を越えて】が既に出ているので、【大好物】という曲を布石として、来年新しいアルバムの発売に期待しています!

 

ということで、まずはアルバム『花鳥風月+』楽しみですね!

最近のスピッツ 2021年4月~6月

■お久しぶりでございます、スピッツ大学学長のitukamitanijiでございます。僕は元気です。皆さん、お元気ですか?

 

現在、2021年6月20日…ちょうど本日、コロナ禍の影響により出されている緊急事態宣言が、沖縄県以外の9都道府県で解除されるということで、僕の暮らす広島も該当しているため、一応今日から緊急事態宣言が明けて、日常に戻るという感じです。…が、どうなるんでしょうね。またリバウンド→緊急事態宣言のループに戻る気もしますし…オリンピックは大丈夫なんでしょうか…とか考えると、まだまだコロナ禍は続きそうですね。

 

とりあえず、まだしばらくは様子見ということで、あんまり出かけないことを個人的には心がけます。基本、家に引きこもるのは得意なので、お家最高!ということで、個人的にはあんまりそれは負担にはなりません。まぁ、リアルに仕事が超忙しいので、暇がないだけなんですけどね。

 


ということで、久々のスピッツ大学での講義ということで…つまり記事を書きました。テーマは…特にありません!最近のスピッツのことについて…最近って言っても、4月~6月くらいのことで、気になったことをまとめてダバダバと書いてみようという、ただそれだけです。

 

では、よろしくお願いします。

 

***

 


44th Single『紫の夜を越えて』配信

 

2021年3月25日に配信されました、現在のスピッツでは最新曲になりますね。これより少し前に、これまた配信という形で発表されました、43th Single『猫ちぐら』とともに、昨今のコロナ禍という特別な時代を歌った、スピッツにとっても僕たちにとっても特別な曲になっています。

 

この曲に関しては、もうすでにスピッツ大学で講義済みですので、よろしかったら、詳しくはそちらをご覧ください。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

 

【紫の夜を越えて】という曲は、何て言えば良いんだろう…聴くと元気が出るという感じでもなく、かと言って、暗い曲だとも思わないんですけど、ふとした時に聴きたくなるような、そんな不思議で面白い曲だなと思っています。

 

youtu.be

 

 

 

ロック大陸漫遊記にて、草野さんが自らスピッツ曲特集を行う

 

2021年4月25日、ラジオ番組「Spitz 草野マサムネのロック大陸漫遊記」において、何と草野さん自身が、自らスピッツ曲を選んで紹介するという、とても面白い回が放送されました。僕は、このことを後で知ったのですが、radikoでさかのぼって聴くことができました。その曲にまつわるエピソードなどを合わせて紹介してくださり、非常に興味深い回になりました。

 

ということで、その日のラジオ音源を文字起こししてみました。軽い気持ちでやり始めましたが、これがかなり時間がかかりました。一応、本記事のメインの内容ということで、長いですが、良かったら読んでみてください。

 

 

冒頭 企画説明

「さぁ、番組の今日のテーマですが、『自らスピッツ曲を選んで漫遊記』です。この番組、始まってから”スピッツ特集”みたいなことはあえて一度もやらなかったんですけれども、3年ちょいやってますので、そろそろそういうのもありかなと思いまして、自分で気に入ってる曲をセレクトしてかけていきます。この間出演しました、ミュージックステーションで、あいみょんさん、adiueさん、sumika片岡くんが、それぞれスピッツの推し曲を5曲選んでくれたりしてましたが、それを「歌ってる本人が選んだらこうなりました」って感じでお届けしてまいります。まぁその時々でお気に入りというのも変わるので、「自分で気に入っている曲2021バージョン」ってとこでしょうか」

 


漫遊前の1曲 渚 / コトリンゴ(カバー)

渚

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「今日は、スピッツ以外でいこうかな。スピッツの曲をカバーしてくれているやつ…あの【楓】とかはカバーしてくださる方がすごい多くって、最近だとそのadiueさんとか…上白石萌歌さんね、あと土岐麻子さんとかもカバーしてくださっていて、本当にありがたいんですけれども、あえてでも今日は外して、渚のカバーいってみようかな。これも、あの城南海(きずきみなみ)さんのと迷ったんですけども、コトリンゴさんのやつ、これがピアノの旋律がほんとに波打ち際な感じで素敵なんで、これを聞いてもらいましょう」

 


ハヤテ

ハヤテ

ハヤテ

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「この【ハヤテ】なんですけど、普通ポップな曲というのは、特に4小節単位でフレーズが続いていくことが多いんですけれども、この曲はAメロが3小節単位で進んでいくというのが、個人的には気に入っているポイントです。あとね、間奏のテツヤのギターのフレーズ(※実際に演奏が入る)このフレーズがすごい好きで、レコーディング当時はすごい忙しくって、スタジオの別室にこもって俺、作詞作業していたんで、テツヤのギターダビング作業に立ち会ってなかったんですよね。だから、これが入ったってのをあとから聞いて、「あっ、何かすげぇ良いフレーズ入ったじゃん!」みたいな、そういう良い思い出があります。亀田さんがプロデュースになってからは、歌詞は先に作って、レコーディングも、皆でせーので録音するようになったから、その辺もすごくかわったんですけどね、当時からね」

 


ナサケモノ

ナサケモノ

ナサケモノ

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「割と最近の曲ですが、この曲はサウンド的に良く録れたなと思ってまして、最近のレコーディングでもレスポンス用によく聴いています。あと、田村の家にあった…ベースのね、スピッツベースの田村の家にあった、キッチンタイマーの音をちょっと取り入れたり、色々楽しかった思い出と相まって、個人的に気に入っている曲です」

 


オケラ

オケラ

オケラ

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「この曲は『君は太陽』のシングルのカップリング曲で、リリース当時は結構地味な扱いだったんですけど、周りでもね、「あの曲良いよね、あの『君は太陽』のカップリングの…」とか言ってもらえて、今はかなりお気に入りの1曲です。あの、スピッツのロックサイドを代表する曲かな、曲の尺が短いってのも結構良いよね」

 

「この歌詞に出てくる、”えぐすぎるスライダー”というのは、当時ホークスに在籍して活躍していました、新垣渚投手が投げるスライダーのイメージです。で、打ち返すイメージは、ライオンズのおかわり君になったような気持ちで書いてましたけどね。でもこの曲本当『おるたな』っぽいよね。アルバムタイトルを象徴する曲だと思います」

 


ハチミツ

ハチミツ

ハチミツ

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「この曲は、ライヴでも結構やっていますが、これね当時新曲のアイデアとしてバンドで合わせていた時に、普段はあんまり褒めてくれなかった、当時のプロデューサーの笹路さんが、「この曲良いね!」って言ってくれたんですよ。「他にこんな曲やれるバンド居ないよ」って、すごく珍しくべた褒めしてくれたのが、すごく嬉しかった記憶があります。あの最初がね、あのこういう(※実際に弾いて歌って)こういうあの、カッティングだけで、それに乗せて歌うアイデアだったんですけども、テツヤがすぐに良い感じのアルペジオをつけてくれて、そのアルペジオのおかげで、すごくキラキラした曲になったと思いますね」

 


えにし

えにし

えにし

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「ここまでね、カタカナのタイトルの曲が、これでもかと続きましたので、ここらで平仮名いってみようかなということで【えにし】、平仮名です。この曲は、サビのメロディーを作った時に、何か良いのが出来たかも、と思って盛り上がって嬉しかった記憶がありますね。個人的には、アルバム『とげまる』の1曲目にしたいと思っていたのですが、まぁ色々考えて、みんなでミーティングとかもしまして、最終的に【未来コオロギ】が1曲目になったんだけど、まぁ今でも、ポテンシャル的にはこの曲アルバム1曲目でもアリかなと思ったりします。まぁその割には、ライヴであんまりやってないんですけどね」

 

「この曲はね、山崎のランチパックのCMでも使っていただきまして、それを機にランチパックの種類の多さというか、それを知りました。」

 

※ラジオ音源通り載せていますが、アルバム『とげまる』の1曲目は、【ビギナー】なので、草野さん間違ってしゃべってますね。

 


小さな生き物

小さな生き物

小さな生き物

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「これもね、まずサウンド的に良い音というか、好きな感じの音で録れたなという曲です。リファレンス音源として、今もよく聴いていますが、何ていうか、歌詞とかメロディーよりも、好きな感じの音で録れたかどうかっていうのが、やってる本人的にはめちゃめちゃ重要なんだなと改めて思います。あとは、この曲は思い出がありまして、『小さな生き物』のアルバムツアーで、1曲目だったんですよ。で、ライヴのね、何度か目に入ったお客さんでね、結構大泣きしている方がいらっしゃって、それが目に入ってきて、「え、泣いてくれちゃってるの!?」っていう、「絶対歌詞間違えらんねぇな」っていう、かなりプレッシャーを感じながら歌っていましたね。まぁでも本当にありがたいことなんですけどね。私ごときの歌で、そんなに感激していただいてね」

 

「ちなみに、リファレンス音源というのは、新しくレコーディングした曲の音の感じを、他の曲と比較するための音源という感じです。ちゃんと良い曲で録れているかなという確認のために、過去の自分たちのお気に入りの曲と比べるという、そういう曲です」

 


ちょっぴりタイムマシン 旅人 / ケリー・チャン(カバー)

為自已作証

為自已作証

  • KELLY CHEN
  • 広東ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

「今日掘り起こすのは、ケリー・チャンさんの【旅人】です。これはですね、当時香港でアイドル的人気スターだった、ケリー・チャンさんがスピッツの【旅人】という曲をカバーしてくださったシングル盤です。スピッツのオケをそのまま生かして、だから俺と同じキーで歌ってらっしゃいま。結構ハマってね、何度も家で聴いていました。最近動画を検索したらですね、最近のコンサートでもケリー・チャンさん歌ってくださっているみたいで、嬉しかったです。残念ながら、俺もメンバーもお会いしたことないんですけどね」

 

 

 

アルバム『花鳥風月+』発売決定

 

2021年9月15日(水)に、アルバム『花鳥風月+』なるものが発売になるという情報が発表されました。これに関しては、まさに寝耳に水でしたね。

 

スピッツは、既に発売しているアルバムを、改めてアナログ盤で発表するということをやっているんですけど、最初はてっきり、「あぁ『花鳥風月』もアナログ盤で発売になるという記事か…」とか思っていたら、「ん?”+”ってなんや…(記事を読んで)何!?収録曲を追加した新しいアルバムだと!?」みたいな感じで驚きました。

 


その『花鳥風月+』の収録曲についてはこちら。

 

01. 流れ星
02. 愛のしるし
03. スピカ
04. 旅人
05. 俺のすべて
06. 猫になりたい
07. 心の底から
08. マーメイド
09. コスモス
10. 野生のチューリップ
11. 鳥になって
12. ヒバリのこころ(新収録)
13. トゲトゲの木
14. 353号線のうた(新収録)
15. 恋のうた(新収録)
16. おっぱい
17. 死にもの狂いのカゲロウを見ていた(新収録)

 

11曲目までと、13曲目、16曲目は、従来の『花鳥風月』に収録されていた曲なのですが、それ以外は『花鳥風月+』になって新たに収録になる曲です。

 


で、その新収録曲の内容なのですが、なんとスピッツがインディーズ時代に発表したミニアルバム『ヒバリのこころ』の全収録曲を網羅した内容になっているようです。

 

ミニアルバム『ヒバリのこころ』のことを、もう少しだけ詳しく紹介しておきますと、この作品が発売になったのは、何と1990年3月21日のことのようです。スピッツのメジャーデビューは、デビューシングル『ヒバリのこころ』と1st Album『スピッツ』を同時リリースした、1991年3月25日のことであり、そこからさかのぼることおよそ1年前に、ミニアルバム『ヒバリのこころ』は発売になったことになります。

 

このミニアルバム『ヒバリのこころ』の収録曲は以下の通りです。

 

01. ヒバリのこころ
02. トゲトゲの木
03. 353号線のうた
04. 恋のうた
05. おっぱい
06. 死にもの狂いのカゲロウを見ていた

 

先述の『花鳥風月+』の収録曲と照らし合わせてみると、12曲目~17曲目が置き換わっていることに気付くはずです。

 

なお、ミニアルバム『ヒバリのこころ』の収録曲のうち、【ヒバリのこころ】はシングル化&アルバム『スピッツ』に収録されましたし、【恋のうた】は2ndAlbum『名前をつけてやる』に収録されています。また、【トゲトゲの木】と【おっぱい】については、もともとのアルバム『花鳥風月』に収録されています。つまり、この4曲に関しては、ちゃんと音源化されて、現時点ですでに聴ける状態にあるわけですね。

 

ただし、残る【353号線の歌】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】についてですが…これまで、ちゃんと音源化されることはありませんでした。【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】に関しては、実は『スピッツ ジャンボリー・デラックス Live Chronicle 1991-2000』という映像作品の中で、ライヴ映像で少しだけ(1番だけ?)聴くことができますが、これでも、ちゃんとフル音源で聴くことは叶っていません。

 

ということで、【353号線の歌】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】については、メジャーデビュー後、初の音源化ということで、今からワクワクが止まりません。当然、新たなスピッツ曲の追加ということになりますので、発売後に聴いた暁には、ここスピッツ大学にて講義したいと思いますので、その時はまたよろしくお願いします。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

 

 

 

SPITZ JAMBOREE TOUR 2021 ”NEW MIKKE”開催

 

spitz-web.com

 

2019年~2020年に渡って、スピッツはアルバム『見っけ』のリリースツアー『SPITZ JAMBOREE TOUR 2019-2020 ”MIKKE”』を開催…する予定でした。

 

しかし、昨今の新型コロナウィルスの感染拡大のため、2020年3月~7月に予定していたホール公演は、振替公演も叶わなくなり、中止という形で幕を閉じてしまいました。

 

これに関しては、メンバーや、ライヴ運営に関わった全てのスタッフ、そして、それに行く予定だったファンの方々…それぞれが皆、残念な想いをしたことでしょう。ツアーが”中止”になる…ということは、スピッツにとって、初めてのこと(?)でしょうか。

 

しかし、これと同時に2021年、『SPITZ JAMBOREE TOUR 2021 ”NEW MIKKE”』なる、新しいツアーが始まることが発表されたのです。要は、”MIKKE”ツアーは残念ながら白紙に戻しつつ、それでもその魂を引き継ぐ、”NEW MIKKE”ツアーを新たに始める、という発表でした。

 

まさに、2021年6月18日(金)…リアルタイムでおとといより、この”NEW MIKKE”ツアーが、神奈川県より始まったわけです。

 

僕は、このツアーに参加はしませんが、色んなことを乗り越え(ようとし)て、このツアーにまでこぎつけたことに関しては、とてもすごいことだなと、勇気をもらうばかりです。

 

話は少し逸れますが、音楽野外フェスとか、オリンピックとかもね、色々と賛否両論はある中の開催になると思いますが、それがたくさんの人に元気を与える結果になることを願っています。

 

 

 

2021年6月、今思うこと

 

先述のとおり、僕はツアーに参加する予定はないので…リアルタイムでめっちゃ忙しいのでその時間もないし、そもそもライヴに行く習慣もあまりないため…今まで通り、ひっそりとスピッツを聴いています。

 

最近、スピッツを聴いていて一番思うことなんですが、自分にとってスピッツ「日常」だなと。もう行き着くところまで来たなと思っています。スピッツを聴くことが、(良い意味で)全然特別じゃない、という感じです。

 

何ていうか、お腹が空けばご飯を食べるように、眠ければ眠るように、呼吸をしないと生きていけないように、ごく自然に、自分の「日常」に溶け込んでいるのを、最近特に感じるのです。

 


話はめっちゃ逸れるのですが…

 

僕が大学生の時、音楽サークルの友達(後輩)で、歌がめちゃくちゃうまい後輩が居たんですが、素人ながら僕はその子の歌のファンだったんです。しかしながら、彼女は歌うたいの道に進むことはなく、学校の先生になりました。

 

その子がよく使っていた言葉として、「日常に溶け込む音楽」というものがありました。”溶け込む”じゃなかったっけな…”寄り添う”だったか”~の中にある”だったか、もうよく覚えていません。とにかく、そういうものがあるから、学校の先生になりつつも、音楽を愛し続ける日々を過ごせるのだと、言っていたような気がします。

 

または、これまた話が逸れますが、恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」の登場人物の中に、高島明石という人が出てくるのですが、物語の舞台となっているコンクールの出場者のほとんどが、音楽の道を志している者なのに対して、この高島明石という人物は、「音楽の専業者だけではない生活者の音楽」というものを追い求めて、コンクールに参加するわけです。

 


多分これらのことは、スピッツとは全く関連のないことなのだと思いますが、何故か最近よく思い出すのです。

 

自分にとってスピッツは、「日常」なのだと。「生活の中に溶け込んでいる」のだと。じゃあ、四六時中お前はずっとスピッツを聴いているのか!?と…問われると全然そうではなくて、むしろ中学生の頃とかの方が、それこそ毎日聴いていました。

 

本当に気の向いた時…通勤の時に、時々仕事をしながら、休みの日に…といった具合に聴くスピッツが、本当に大事なんだなと、しみじみと思うばかりです。

 

 


■ということで、長々と書かせていただきました。軽く済ませようと思っていましたが、ここまで、リアルタイムで今日の朝からぶっ続けで書いています。今回はこれくらいにしておきます。次にお会いするのは、アルバム『花鳥風月+』が発売された後でしょうか。

 

ということで、またお会いしますよ!